丸山
編集長の丸山です。『健康365』には、健康・医療・福祉の分野で熱い志を持って活動している人物(情熱人)を紹介する「ニッポンを元気に!情熱人列伝」という連載ページがあります。(こちらの『365カレッジ』でも情熱人列伝の記事を読むことができますよ!)
今回の取材で訪れたのは長野県上田市。2023年6月号で掲載する「情熱人」として、「発芽珈琲(コーヒー)」を製造するイミー株式会社の市川敬記代表を取材しました。
市川社長が手がける「発芽珈琲」は、その名のとおり、発芽させたコーヒー豆を焙煎して作るコーヒーのことです。発芽食品の代表格といえば「発芽玄米」。発芽玄米は20年ほど前にブームになり、今も安定した人気がある健康食の一つです。発芽玄米は玄米食とは違う甘みや食感のよさがあるので、玄米食になじめない人でも常食している人が多いと聞きます。
発芽玄米だけでなく、カイワレ大根や豆苗といった「スプラウト野菜」は広く普及し、最近ではブロッコリーのスプラウトも見かけるようになりました。発芽食品に共通する魅力は、秘められた高い栄養価。多くの植物は、発芽の際に生命力が最大限に高まるとされています。コーヒー豆も同様に、発芽させることで栄養価が格段に高まることが、信州大学などの研究で明らかになっています。市川社長が手がける発芽珈琲についても、わざわざコーヒー豆を発芽させてから焙煎する意味は、まさにここにあるのです。
時間と手間をかけて発芽させる行程をふんだコーヒーは、おいしさや深みがある一方で、カフェインが少なく抑えられています。そして何より、発芽食品の真骨頂といえる栄養価の高さがバツグン!体に優しくて健康にいい、まさに新感覚のコーヒーですね!
コーヒー豆を発芽させるのは、市川社長が研究の末に完成させた発芽装置。幼少期からおもちゃを分解して仕組みを調べるのが大好きだったという市川社長は、大手企業も撤退するほど難しかった発芽促成技術の機械化に成功。現在も改良を重ねて、現在稼動している発芽装置はなんと17代目になるそうです。市川社長いわく、この発芽装置はコーヒー豆のみならず、ほかの食品の発芽を促すこともできるそうで、他県の発芽玄米を製造する企業にも使われているそうです。市川社長は、学校の給食メニューにさまざまな食材の発芽食品を提供することで、子どもたちの成長を促しながら、植物のしくみやいのちに関する学びの場になればと考えているそうです。
魅力的な新しいコーヒーの存在を、世界も注目しはじめています。海外からは、現地で発芽珈琲を提供するショップの展開のオファーも届いているそうで、この数年の間に発芽珈琲が世界的なコーヒーブランドになるかもしれませんね。
市川社長には、イミー社の横に併設された発芽珈琲をいただけるカフェの中でお話を伺いました。その名もカフェ スプラウト!〝発芽づくし″のメニューが並ぶカフェでは、発芽玄米を使ったお餅が入る「おしるこ」も人気のことでした。市川社長が育て上げた発芽珈琲が、世界中のコーヒーファンに愛飲される日はそう遠くないかもしれません。
市川社長のインタビューを掲載した「ニッポンを元気に!情熱人列伝」は、『健康365』6月号(4/14発売)でお読みいただけます。