満たされた性によって得られる幸福感は、人生を豊かなものにしてくれます。この連載では、いつまでもゲンキで毎日を過ごせるよう、編集部が見つけた性に関するとっておきの情報をお届けします。
冬の寒さが厳しくなると、人肌が恋しくなりませんか? 年齢や性別にかかわらず、肌の触れ合いを望んだり、性的な欲求を感じたりするのは自然なことです。とはいえ、スキンシップや夫婦の営みを求めたいという気持ちが高まっても、「長らくご無沙汰でいい出しにくい」「いまさら照れくさい」という方も少なくないでしょう。
今回、編集部では、異性とのムードが自然に高まる方法として、古くから世界中で親しまれてきた「香り」に注目。アーユルヴェーダ研究の第一人者であり、アロマテラピーに詳しい西川眞知子先生を訪問し、香りの活用法について詳しいお話を伺いました。
「アーユルヴェーダは約5千年前にインドで発祥した生命科学で、空・風・火・水・地の〝5大元素〟によって宇宙が成り立っているという考え方に基づいています。それぞれの元素には5感をつかさどる感覚器官が深く関わっていると考えられていて、空は聴覚、風は触覚、火は視覚、水は味覚、地は嗅覚と結びついているとされています」
地の元素と結びついている嗅覚は、5感の中でも特に原始的で本能的な感覚といわれているそうです。まずは、嗅覚と香りについて説明していただきました。
「視覚や聴覚は脳の視床を経て大脳皮質の視覚野・聴覚野などに伝達されますが、嗅覚だけは大脳辺縁系に直結しています。つまり、香りは色彩や音楽などの刺激に比べて直接的な刺激を脳に与えることができるのです。したがって、脳の深奥部に直接働きかける嗅覚は、記憶を呼び覚まし、再生させる力があります。さらに、本能的な感情や食欲などに働きかけて心身を調整することも期待できます」
パートナーとの間に甘いムードを漂わせるために、香りは直接的で取り入れやすい要素だという西川先生。セクシーな雰囲気を高める香りについて教えていただきました。
「異性をその気にさせる香りのナンバーワンは、イランイラン。甘くてスパイシーな香りが特徴です。イランイランはバンレイシ科の被子植物で、東南アジアからオーストラリアにかけて自生しています。イランイランの精油(植物の香り成分を抽出したエッセンス)は、香り高い黄色の花から抽出されます」
イランイランは、フィリピンのタガログ語に由来する「花の中の花」を意味する言葉。インドネシアなどでは、新婚夫婦のベッドにイランイランの花を敷き詰める風習があるそうです。
「イランイランには興奮作用を持つ酢酸ベンジルが含まれるので、新婚初夜のムードを盛り上げる催淫効果が期待できるといわれています。ただ、私はイランイランの甘い香りは、ほんとうはベッドインの〝前〟に楽しみ、お互いの気持ちを高め合うのが効果的と考えています」
香りを楽しむ方法はさまざまという西川先生。精油を衣類やお湯に垂らしたり、市販のアロマディフューザー(香りを拡散させる器具)を使ったりするのもおすすめだそうです。
「ゆっくり香りを吸い込むと、吐く息も甘い香りになります。お互いに顔を近づけてゆっくり呼吸を合わせ、ふだんはなかなかいえない素直な気持ちを甘い吐息に乗せて伝えてみましょう。直接的な愛情表現を口にするのに抵抗がある方は『いつもありがとう』といった感謝の言葉でもいいのです」
イランイランの甘い香りには、照れや緊張感を和らげて甘い言葉を口にしやすくする力があるそうです。甘いムードを盛り上げる香りを活用し、パートナーとのスキンシップを楽しんでみてはいかがでしょうか。