プレゼント

“エラスチン博士”こと岡元孝二先生を取材しました

丸山

九州工業大学名誉教授の岡元孝二先生を取材しました。岡元先生は、私たちの血管や皮膚に多く存在する弾性たんぱく質の「エラスチン」を半世紀近くにわたって研究されている第一人者。〝エラスチン博士″と呼ばれている第一線の研究者です。

取材場所となった福岡県立飯塚研究開発センターは、九州工業大学飯塚キャンパスの目の前にある公的施設。産官学による研究をベースにした企業をはじめ、独自の技術で研究開発に取り組む企業や団体が多数入居しています。センター1階のエントランスには、各企業が誇る技術が模型などを使って分かりやすく展示されています。科学技術に詳しい人なら、思わず目を奪われてしまうのではないでしょうか。

開発センターの会議室で岡元先生の登場を待った私。岡元先生はエラスチンの研究のみならず、世界で初めて人工血管を開発した研究者とあって、じわじわと緊張感が高まります。

ゆっくりとドアが開いて、岡元先生のおでまし!あれれ…マスクを着けてマフラーを巻いた先生の様子は、なんとなく弱々しい感じです。

「いやぁ、風邪を引いてしまいましてね…」とおっしゃる岡元先生。

声を出すのもつらそうですが、エラスチンの取材が始まると、先生は徐々にヒートアップ。「世の中にはエラスチンとは呼べない化学構造の製品がたくさんあるので困っています」と、本物を知り、研究を続けられている先生の言葉は、十分な説得力がありました。

私のように化学構造の「か」の字も知らない一般人にとってみれば、ドラッグストアで見かけるエラスチンの化学構造が正しいかどうかを判別するのは至難の技。だからこそ、メディアとして正しい情報を伝えなければ!と真摯に思った次第です。

岡元先生によると、コラーゲンはワイヤーのような頑丈さを担い、エラスチンはゴムのようにしなやかさを担うたんぱく質と考えるのが分かりやすいそう。多過ぎても少なすぎても望ましくなく、体の中でコラーゲンとエラスチンが適切に絡み合ってこそ、頑丈でしなやかな血管や皮膚が作り出されるのだそうです。

血管や皮膚を構成するたんぱく質としてコラーゲンはよく知られていますが、エラスチンの存在は、コラーゲンほど広く認知されていない気がします。健康寿命を延ばすカギともいわれるエラスチンの健康効果を誌面で特集していきたいと思います。