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痛み・しびれの真犯人”モヤモヤ血管”の話

マキ

長年の疑問の氷解

みなさん、こんにちは! 編集長代行のマキです。「365つれづれ日記 編集部ぶろぐ」をご覧いただき、誠にありがとう存じます。

我々は『健康365』という健康雑誌の編集に携わっているわけですが、編集者によって担当する疾患のジャンルが大まかに決まっています。いわば“得意分野”のようなもので、私の場合は運動器疾患(骨、筋肉、軟骨などの運動器の病気)を担当する機会が多くあります。

運動器疾患の取材を重ねてきて、ずーっと疑問に思っていたことがあります。それは「レントゲンなどの画像で確認できる状態(画像所見)」と「実際に患者さんが訴える症状(臨床症状)」が必ずしも一致しないという事実です。

例えば、画像所見では重症でも患者さんの自覚症状がなかったり、その逆に画像所見では軽症でも患者さんの自覚症状が重症だったりする場合です。さまざまな医師(主に整形外科の先生)に取材するたびに「(画像所見と臨床症状の不一致について)どうしてでしょうか?」と質問してきましたが、満足な答えを得ることはできませんでした。

名古屋EVTクリニック院長の鴨井大典先生

ところが、今回の取材は別でした。名古屋EVTクリニック院長の鴨井大典(かもい・だいすけ)先生にお話を伺う機会に恵まれ、“病的な新生血管(モヤモヤ血管)”が痛みやしびれなどの原因である可能性があることを知ったのです!

“モヤモヤ血管”とは?

人体で損傷を受けたり、繰り返しストレスを受けたりすることで炎症が起こっている部位には、修復の過程で“新生血管”という新しい血管が増設されます。慢性的な痛みの原因となる病的な新生血管が血管造影画像ではかすんでぼやけて見えることから、分かりやすいように“モヤモヤ血管”と呼ばれているそうです。

通常、新生血管はできては消え、できては消えということを繰り返しています。しかし、なんらかの原因で消えなくなると、モヤモヤ血管になってしまうのです。

モヤモヤ血管が痛みやしびれの原因になるのは、次のような理由からだそうです。

  • モヤモヤ血管は非常にもろく、血管内から発痛物質が漏れ出してしまう
  • モヤモヤ血管のそばには病的な神経も増殖し、病的な神経が痛みの信号を発する
  • モヤモヤ血管による血流の増加に伴って局所の組織圧が高まる
  • モヤモヤ血管によって動脈と静脈との間にできた異常な連結部分“動静脈瘻(どうじょうみゃくろう)”が作られることで、血液が末端の毛細血管を経ずに動脈から静脈に流れ込んでしまい、患部組織に血液が十分に行き渡らずに虚血状態に陥ってしまう
  • 患部組織の虚血状態を改善するためにモヤモヤ血管を含む新生血管がさらに増設され、血流不足を悪化させるという悪循環に陥る

モヤモヤ血管は、首・肩のこりや肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)、ヘバーデン結節・ブシャール結節、ひざ・股関節などの変形性関節症、脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、アキレス腱炎など、体のあらゆる部位で起こる症状や疾患に関わっている可能性があるといいます。怖いですね~!

治療前:肩こりを引き起こしていたモヤモヤ血管の画像
治療後:モヤモヤ血管は速やかに消失し、正常血管が太く末梢まではっきりと確認できる

“モヤモヤ血管”のセルフチェック

一般的に40歳以上になるとモヤモヤ血管を自然に減らす力が衰えてくるため、慢性的な痛みが生じやすくなるそうです。次の項目に当てはまるという人は、モヤモヤ血管が慢性的な痛みの原因かもしれませんよ。

□3ヵ月以上の長引く痛み(慢性的な痛み)がある
□医療機関で『手術を行わない方針』となっているが、痛みが改善しない
□医療機関で手術を含む治療を受けたが、痛みが残っている
□医療機関で『原因不明の痛み』といわれている
□鍼やマッサージ、リハビリテーションなどに通いつづけても痛みが取れない
□鎮痛薬をやめられない
□スポーツや仕事などでの繰り返し動作で痛みが生じるようになった

ちなみに、モヤモヤ血管の第一提唱者は、オクノクリニック院長の奥野祐次(おくの・ゆうじ)先生とのこと。奥野先生は放射線科医として長年にわたって血管内治療に従事している中で、モヤモヤ血管の着想を得るに至ったそうです。奥野先生が著されたモヤモヤ血管の関連書籍がいくつかあるようです。

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