プレゼント

丹波黒の煮汁が持つ血流改善作用で耳鳴り・めまいを撃退

ご当地研究最前線
ノザキクリニック院長 野崎 豊

丹波黒の血流改善効果で血圧が低下

兵庫県の丹波地方を中心に栽培されている丹波黒は、黒豆の中でも味・大きさ・栄養価のすべてが突出している

私は、内科・小児科・アレルギー科が専門の医師です。クリニックでは患者さんの症状によって、治療に漢方薬も取り入れています。30年ほど前から東洋医学に取り組んでいる私は、兵庫県から「丹波黒」の機能性に関する研究や講演を依頼されました。

丹波黒は黒豆の品種の1つです。兵庫県の丹波地方を中心に栽培されている丹波黒は、味がよくて粒が大きく、栄養価が高いことで知られています。私は漢方薬と同じように、丹波黒を煎じた煮汁をさまざまな症状の患者さんに飲んでもらいました。すると、予想を上回る効果が予期した以上の早さで確認できたのです。

最初にわかったのは、高血圧に対する効果です。私の妻(当時40歳前後)は20代から若年性高血圧で、最大血圧(基準値は101~139㍉)が200㍉と高く、降圧剤を飲んでも改善しませんでした。ところが、丹波黒の煮汁を飲んで1週間もしないうちに、最大血圧が120㍉前後に低下。その後も、丹波黒の煮汁を飲みつづけて基準値内を保っています。

さらに、耳鳴りやめまいに悩んでいた患者さんが丹波黒の煮汁を試したところ、多くの人が「耳鳴りの音が小さくなった」「めまいが軽くなった」と答えています。統計を取っていたわけではありませんが、おおよそ8割以上の人が改善傾向にあると感じています。

驚くべきは、即効性です。丹波黒の煮汁を試したほとんどの人が1ヵ月後の再診で症状の改善を実感しているため、早期の効果が期待できるのです。

丹波黒の煮汁を飲んだ患者さんには、高血圧や耳鳴り・めまいの軽快のほか、睡眠の質の向上、便通の改善、抗脂肪効果が見られ、目のかすみ、飛蚊症・緑内障、さらには白髪の減少も確認できたのです。その後、長期にわたって丹波黒の煮汁を患者さんに試してもらった結果、動脈硬化(血管の老化)、脂質異常症、貧血、糖尿病、心疾患、頻尿、骨粗鬆症などにも力を発揮することがわかりました。

これらの結果は、丹波黒の煮汁が持つ血流改善作用と抗酸化作用によるものと考えられます。実際に、私を含めた5人の丹波黒の関係者が、毛細血管の構造を人工的に作った機器で、煮汁を使った試験を行って血流の改善効果を確認しました。その後、多くの人で血流の改善作用が確認されています。

丹波黒の煮汁を飲んだ人で、もともと血流のいい人には変化が起こらず、血流が悪い人は全員改善したことにも私は驚かされました。特に改善効果が顕著だった患者さんは、丹波黒の煮汁を飲んだ後の血流が約30%速くなっていたのです。

丹波黒は皮に栄養分が多く抗酸化作用を発揮

丹波黒の煮汁の作り方

丹波黒の煮汁には、ビタミンEやミネラルの1種であるマグネシウムが豊富に含まれています。ビタミンEは血管を広げたり、活性酸素(酸化作用の強い酸素)を抑えたりする働きがあります。マグネシウムには血管の筋肉をリラックスさせ、血液を固まりにくくしたり、血圧を調整したりする働きがあります。

黒豆にはビタミンEやマグネシウムのほか、大豆特有のイソフラボンが黒豆以外の大豆(黄大豆)より多く含まれています。女性ホルモン(エストロゲン)に近い構造を持つイソフラボンは、動脈硬化や骨粗鬆症などを防ぐ働きがあります。

私は、丹波黒の煮汁によって耳鳴りやめまいが改善するのは、シアニジン(黒色の色素成分)やイソフラボンの抗酸化作用がかかわっていると考えています。

耳(内耳)の中に存在する蝸牛という器官には、音を感じるために欠かせない有毛細胞があります。ところが、老化によって有毛細胞の数が減少すると、耳が正しく働かないようになり、難聴や耳鳴り・めまいが起こります。シアニジンやイソフラボンは、耳の中の血流を改善して有毛細胞のアポトーシス(細胞の自然死)を防ぐといわれています。

丹波黒などの黒豆はほかの大豆とは異なり、皮の部分に有効成分が凝縮しているといわれています。試しに黒皮を取り除いた部分をきな粉状にして患者さんに飲んでもらいましたが、血圧の低下はごくわずかでした。一方、黒豆の皮の煮汁だけを飲んだ患者さんでは、血圧の低下が確認できました。

丹波黒の煮汁の作り方は上にある「丹波黒の煮汁の作り方」の図のとおりです。優れた効果を得るためにも、できるだけ長期的に飲むように心がけてください。煮た後の豆にも、煮汁として出なかった3割程度の栄養分が残っています。いり豆や煮豆にして食べるといいでしょう。

黒豆の煮汁にはカリウムが多く含まれているので、慢性腎臓病の患者さんが飲む場合は医師と相談してください。黒大豆によって、アレルギーは起こりにくいはずですが、大豆のアレルギーを持つ人も、専門医と相談したうえで試すようにしましょう。