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東海大学医学部・川上智史先生がコロナウイルス対策をアドバイス

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東海大学医学部客員准教授・特任講師 川上 智史

世界中でコロナウイルスの感染者が増えています。日本国内の感染者数も増加の一途をたどっている中、予防医学の専門家である川上先生が、コロナウイルスとその対策について分かりやすく緊急解説します。

[かわかみ・さとし]——北里大学卒業後、同大学大学院医療系研究科修了。医学博士。専門は予防医学。医学的な視点で健康をわかりやすく解説するメディカルアドバイザーとしても活躍。

中国の武漢市を発端とした新型肺炎ウイルス(コロナウイルス)に関するニュースが連日のように報道されています。事態が収束する気配は見られず、むしろ増加傾向にあります。世界中の創薬研究者たちがコロナウイルス治療薬の開発を急ピッチで進めています。今回は『健康365』の読者の皆さんに、コロナウイルスについての分かりやすい解説と、予防医学の見地から、今日からできる予防法をお伝えしたいと思います。

コロナウイルスがこれほどまでに恐れられている理由は、その正体がつかみきれていないからです。治療薬がなく、予防のためのワクチンも存在しない現在、ウイルスとしての実態が完全にわかっていないことが、多くの人の不安を高めています。しかしながら、国内で感染者が増えている現在、十分な警戒が必要であることは間違いありません。

読者の方の中には、ウイルスと細菌は同じようなものと思われている方が多いかもしれません。実はウイルスと細菌はまったく異なるものです。

生命体の定義は「自己増殖ができるかどうか」です。増殖は、ミトコンドリアをはじめとする細胞小器官があって初めて可能になります。みずから分裂を繰り返すことで増殖する細菌に対し、DNAやRNA(核酸)しか持っていないウイルスは、私たち人間の細胞内にある核に侵入して増殖していきます。ウイルスに感染した細胞は、ウイルス感染細胞と呼ばれる異常な細胞となり、さまざまな病気を発症させる原因となります。

潜伏期間はウイルスに体が蝕まれはじめた状態です。これは持論ですが、ウイルスに感染した体は本能的に生命維持の欲求が高くなるため、潜伏期間には「食欲・性欲・睡眠欲」の3大欲求のいずれかがが強くなる傾向があると考えられます。「普段より眠気が強い」「やたらとおなかが空く」「性欲が強くなった」と感じたときは、ウイルス感染の可能性も否定できません。

ウイルスの感染経路として、空気中にウイルスが飛散して感染する空気感染と、くしゃみやセキなどによって感染する飛沫感染があります。例えば、インフルエンザウイルスは飛沫によって感染しますが、コロナウイルスは空気感染と飛沫感染の両方に感染経路があると考えられています。空気感染の範囲は広く、広いオフィスや電車の端に乗っていても気づかないうちに感染してしまうおそれがあります。

空気感染や飛沫感染によるウイルス感染を防ぐために、マスクを着用して過ごす人が増えています。なかなか現在では手に入りにくいとされているマスクですが、やはりウイルスの侵入リスクを少しでも下げるためにマスクはできる限りしておきましょう。マスクの着用だけで安心できません。手や服にウイルスが付着している可能性もあるので、こまめな手洗いや消毒を心がけましょう。

ウイルスに対抗する中心的な免疫細胞は、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が代表的です。NK細胞は小腸のパイエル板を刺激することで活性化します。つまり、腸内環境を整えることが免疫の向上につながるといえるのです。

小腸を活性化するには、便通をよくして腸内細菌のエサとなる食物繊維を多くとるといいでしょう。食物繊維の摂取量を考えると、玄米をはじめ、サツマイモやゴボウといった根菜類がおすすめです。ワカメやコンブといった海藻類は水溶性の食物繊維が豊富です。今日から実践できるコロナウイルス対策として、食物繊維を意識した食事を始めてみましょう。

この取材は2020年2月中旬に行われました。