コンドロイチンの摂取でロコモを予防・改善し老いを受け入れながら豊かな老後を過ごそう
私は「ハッピーエイジング」という言葉を提唱しています。ハッピーエイジングでは、老いていくことを受け入れて社会にうまく適応しながら、豊かな老後を過ごしていくことを目標とします。
しかし、加齢によって引き起こされる数々の疾患は、豊かな老後を過ごす妨げになります。中でも、ロコモティブシンドローム(運動器症候群。以下、ロコモと略す)は、生活の質(QOL)を著しく低下させる、ハッピーエイジングの最大の敵といっていいでしょう。
ロコモは、骨や関節、軟骨、筋肉などの運動器のいずれか、あるいは複数に障害が起こり、「立つ」「歩く」といった機能が低下している状態のことです。ロコモの三大原因は「腰部脊柱管狭窄症(以下、脊柱管狭窄症と略す)」「変形性関節症」「骨粗鬆症」といわれ、進行すると介護が必要になるリスクが高まります。
脊柱管狭窄症は、背骨の中を通る脊柱管が狭くなって、神経を圧迫するために起こる病気です。背骨は33個の椎骨が首から腰にかけて積み重なって構成されています。椎骨の中央には穴があいており、つなげるとトンネルのような管状になることから、脊柱管と呼ばれます。
脊柱管には、脳からつながる神経の束(脊髄や馬尾神経)と、椎骨と椎骨をつなぐ黄色靭帯が通っています。脊柱管狭窄症は、加齢などの原因で脊柱管の周囲の骨が変形したり、黄色靭帯が厚くなったりして、脊柱管が狭くなることで起こります。脊柱管が狭くなると、脊柱管の内部を通る神経が圧迫され、足腰が痛んだりしびれたりするようになるのです。
私は、脊柱管狭窄症をはじめ、ロコモの予防・改善にコンドロイチンをおすすめしています。コンドロイチンは、正しくはコンドロイチン硫酸といいます。ムコ多糖類というネバネバ成分の一種で、皮膚や軟骨、骨、目の角膜など、各臓器に存在しています。
中でも、軟骨にあるコンドロイチンは、関節のスムーズな動きを支える重要な働きを担っています。コンドロイチンの保水性によって、軟骨には通常65~80%の水分が保持されています。軟骨は水を含んだスポンジのようになって関節にかかる衝撃を和らげ、滑らかな動きを支えているのです。また、コンドロイチンには、栄養を含む関節液を運び入れることによって、血液の代わりに軟骨に栄養を補給したり、老廃物を排出したりする役割もあるといわれています。
コンドロイチンは、加齢とともに体内での生産量が減少し、40代以降はほとんど自力で作り出すことができないといわれています。コンドロイチンが不足すると、関節痛や腰痛の原因にもなるため、体外からの補給が必要になります。
E型コンドロイチンは抗炎症作用が抜群に強く脊柱管狭窄症の痛みやしびれを改善
コンドロイチンには、さまざまな種類があります。市販されているコンドロイチンは、サメの軟骨から抽出されたC型がほとんどです。そのほかにも、ブタ由来のA型やB型、ウナギ由来のD型があります。そして、近年になって新しく発見され、注目を浴びているのが、E型コンドロイチンです。
E型コンドロイチンは、太平洋の沖合いで捕れるアカイカの頭部軟骨が原料です。2㍍を超す巨大なアカイカ1匹から数㌘しか抽出できない、非常に希少価値の高い成分です。ほかの型のコンドロイチンには認められない、数々の優れた働きがあることがわかっています。
E型コンドロイチンの優れた働きの1つに、強力な抗炎症作用が挙げられます。ほかの型のコンドロイチンにも炎症を鎮める働きはありますが、E型コンドロイチンの抗炎症作用はずば抜けて高いといえます。脊柱管狭窄症による足腰の痛みやしびれの改善には炎症を抑えることが重要なため、優れた抗炎症作用を誇るE型コンドロイチンは理想的な素材といえます。
E型コンドロイチンは、骨や軟骨を新たに作り出す骨芽細胞を活性化する働きがあることがわかっています。活性化した骨芽細胞からは、オステオカルシンという軟骨や骨の形成を促すホルモンが産生されます。さらに、オステオカルシンには、体内の男性ホルモンの分泌を促す作用もあり、軟骨や骨を形成するばかりか、筋肉を増強する働きも期待できるのです。
脊柱管狭窄症や変形性関節症、骨粗鬆症などによってロコモの症状に悩んでいる方はもちろん、ロコモの予防としてもE型コンドロイチンを活用してほしいと考えています。