体重を正しく減らすには高たんぱく・低糖質食がおすすめ
股関節は、下肢と骨盤をつないで体重を支える荷重関節です。変形性股関節症の方は、股関節にかかる負荷を減らすため、体重管理を指導されます。しかし、ただ単に痩せればいいというのではなく、体の自然治癒力を高める食事を心がけながら痩せていくことが重要です。
具体的には、ご飯・パン・麺類・果物・お菓子・ジュースなど、糖質の多い飲食物を控え、高たんぱく・低糖質の食事に切り替えることです。たんぱく質が豊富な食材には、脂肪の少ない赤身肉やひれ肉、もも肉、鶏のささみをはじめ、白身魚、卵、大豆製品、乳製品などがあります。高たんぱく・低糖質の食事と、私が指導する冨澤式[股関節温存療法(マッサージ・ストレッチ・リハビリ)]を併用することをおすすめします。
私の施設に来られる変形性股関節症の方にお話を伺うと、多くの方が体重を減らしたほうがいいことを認識しています。しかし、実際に行動に移しているかというと、そうではありません。担当の医師から「体重を減らしたほうがいい」といわれても、肝心の実践法が分からないからです。
現状では、体重管理をいかに実践するかは患者さん任せです。しかし、患者さんが生活習慣を変えることは容易ではなく、なかなか体重を落とすことができません。また、間違ったダイエットを行うと、筋力が低下して痩せにくくなるばかりか、股関節にかかる負担も増加して症状の悪化を招く危険性もあります。
多くの方は「食べる量を減らせば痩せる」と単純に考えているのではないでしょうか。確かに痩せることは痩せると思いますが、とても危険な方法といわざるをえません。正しく痩せるためには、次の①~③のステップで行う必要があります。
まずステップ①では、自分自身のそれまでの食生活を振り返ることから始めます。一日三食の食事内容はたんぱく質が多いか糖質が多いか、またお菓子や甘いもの、カフェイン・アルコールなどの摂取量は適切かなど、自己観察をしてください。間食をしていないかなどもチェックします。
次にステップ②では、お菓子や甘いもの、カフェイン・アルコール類をやめます。さらに、間食もいっさいやめたうえで、一日三食の食事内容を高たんぱく・低糖質のものに切り替えます。
最後のステップ③では、運動をして筋肉を鍛え、体内の代謝を上げて脂肪を燃焼しやすい体質作りを目指します。筋肉を落とさず、脂肪を落としていくのです。
ただし、無理をして歩いたり強い負荷をかけたりすると股関節の状態が悪化しかねないため、私が指導する冨澤式[股関節温存療法(マッサージ・ストレッチ・リハビリ)]を行うようにしてください。それを継続することが大切です。
腸内環境がよくなると自然治癒力が高まって股関節の痛みも軽減
腸内環境を悪化させる要因には、ストレスや睡眠不足、抗生物質の使用などがありますが、食生活の影響も大きいことが知られています。お菓子や甘いもの、カフェイン・アルコール類の過剰摂取、糖質に偏った食事は、腸内環境の悪玉菌のエサとなって増殖させてしまいます。
悪玉菌が増殖して腸内環境が悪化すると、むしょうに甘いものや糖質などが欲しくなることがあります。食事でご飯を少なくしても、食後にパンやお菓子を食べてしまっては意味がありません。糖質に依存しているという方は、腸内環境が悪玉菌優勢の状態に陥っていると考えたほうがよいでしょう。高たんぱく・低糖質の食事に切り替えれば、腸内環境が整って甘いものや糖質に対する過剰な欲求がなくなっていきます。
腸には免疫細胞の約60~70%が集まっているといわれています。腸内環境が善玉菌優勢の状態になると、体に必要なビタミンの合成や有害物質の排出など、体の機能が正常化されます。自然治癒力も高まり、全身の炎症を速やかに抑えて痛みの軽減につながります。
「分かっちゃいるけどやめられない」という方もいるかもしれませんが、自分に厳しく継続する強い意志を持つことがダイエットを成功させる決め手です。高たんぱく・低糖質の食事法と、私が指導する冨澤式[股関節温存療法(マッサージ・ストレッチ・リハビリ)]を併用することによって、皆さんが体の内と外から健康になることを心から祈っています。
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