365調査隊
私たちの健康を支える野菜。しかし、野菜を満足にとることは、多忙な日々の中では困難を極めます。そんな時に便利な野菜ジュースですが、どのくらいの栄養価があるのでしょうか……。調査隊が真相に迫ります。
野菜ジュースは補助的な選択肢だが便利で有用
健やかに長生きするためには、日々のバランスのいい食事が不可欠です。ところが、外食が続いた時などは、どうしても野菜が不足してしまいがち。生活習慣病予防の観点では、1日に必要な野菜量は350㌘以上とされています。野菜量350㌘というと、小鉢程度の副菜で5皿くらいに相当し、よほど食事内容に気をつけていなければ達成できない数値といえます。
野菜ジュースに頼る人も少なくないでしょうが、気になるのは「野菜ジュースでは栄養はとれない」という、まことしやかなうわさ。野菜を原材料に作られているジュースなのに、なぜ否定されるのか? たいや内科クリニックの管理栄養士・林安津美先生にお聞きしました。
「いくつかの理由があります。まず、野菜をジュースに加工する過程で、熱や酸素によってビタミンやミネラルが破壊されてしまうこと。特に熱に敏感なビタミンCや一部のB群ビタミンは、加工中に大幅に減少する可能性があります。また、ジュースにする際には、野菜の固形部分が取り除かれてしまいますが、この固形部分にこそ食物繊維が豊富に含まれているんです」
さらに、添加物や保存料が栄養価に影響を与えたり、保存期間の長さによって劣化が進み、ビタミンなどの栄養素が減少したりする可能性があると林先生は指摘します。
「もちろん、製法によってこうした問題が緩和されている商品もあるでしょう。しかし、市販の野菜ジュースには糖分や塩分、添加物が含まれているものも多いですから、生野菜を摂取するのと同じ効果を期待するのは難しいといわざるをえません」
ただし、補助的な選択肢としては必ずしも無意味ではないのだそう。
「要は、野菜の完全な代替品にはならないことを理解しておくことが重要なんです。あくまで部分的に野菜不足を補うものであり、大切なのは全体的なバランスです。肉、魚、穀物、乳製品など、ほかの食品群からもまんべんなく栄養を摂取することが健康維持の秘訣です」
つまり、野菜ジュースだけに頼らず、炒め物やスープなどさまざまな料理を通して、トータルに野菜を摂取することを心がけるべきということでしょう。
「とはいえ、朝食で野菜をとるのが難しい場合など、野菜ジュースはやはり便利です。例えば、野菜ジュースをスムージーのベースとして使ったり、小腹が空いた時のおやつ代わりにしたりするのはいい活用法です」
野菜ジュースでも、飲みすぎると糖分やカロリーの過剰摂取につながるので、その点だけはご注意を。