丸山
『健康365』では、COPDや間質性肺炎といった、従来の治療だけでは完治が望みにくい肺疾患の特集を定期的に掲載しています。呼吸機能の維持に役立つ情報を探すことはとても難しいのですが、運動法や飲料水など、医療機関で実証された情報を厳選してお届けしています。
そのほかにも編集部では、肺疾患と診断された患者さんたちによって設立された「患者会」の取材も重ねています。J-BREATH(NPO法人日本呼吸器障害者情報センター)さんをはじめ、呼吸不全友の会(ホットの会)さん、板橋サンソ友の会さんなど、患者さんやご家族を取材するたびに、大きな反響をいただいています。
●J-BREATH(NPO法人日本呼吸器障害者情報センター)
●板橋サンソ友の会
●呼吸不全友の会(ホットの会)
今回取材させていただいたのは、「非結核性抗酸菌症患者の会」を主宰する瀧口和朗さん。
非結核性抗酸菌症は、土や水にすむ特定の細菌が肺の中に入って炎症を起こすことで肺機能の低下を招きます。患者さんによっては、免疫力の低下に伴ってセキや呼吸苦といった症状に悩まされることもあるのです。
非結核性抗酸菌症の患者会を主宰する瀧口さんは、出身地の山形県から千葉県の長生郡長柄町に移住して18年。ご自身で建てたログハウス(現在も建築途中とか)が話題となって家づくりのプロデュースに携わるようになり、「たきたろう工房」では絵画や彫刻、陶芸、雑貨なども制作する芸術家なのです。
手先が不器用な私は、子ども時代の工作はもちろん、大人になった今もDIYと呼ばれる類の作業が苦手です。「たきたろう工房」のシンボルといえる瀧口さん自作の大きなログハウスを眺めながら、「こんなに太い丸太を使ってどうやって建てるの⁉」と感心するばかり。
こだわりのお庭や雑貨を拝見しているうちに、あっという間に時間が過ぎてしまいました。
瀧口さんにお話を伺った「非結核性抗酸菌症患者の会」の活動については、本誌10月号のインタビュー記事をぜひお読みください。
今回の訪問でもう一つの楽しみだったのが、千葉県内を走るローカル鉄道・小湊鉄道への乗車です。JR内房線の五井駅を始発とする小湊鉄道は、房総半島の里山エリアを走る道のり約40キロのローカル鉄道。映画やテレビドラマの撮影でよく使われる情緒たっぷりの駅舎やホームをはじめ、車窓には東京に隣接している県とは思えないほどのんびりとした里山風景が広がっています。私自身が千葉県の南房総出身ということもあり、千葉の田舎の雰囲気はよ~く知っていますが、海に面する南房総とは味わいが異なる里山の風景に、すっかり癒されてしまいました。実家に帰省する時は、東京から南房総に直接向かってしまうので、房総半島のど真ん中に位置する市原市に立ち寄ることはほとんどありません。今度は里山の癒しを求めて、ゆっくりと訪れたいものです。
癒しといえば、里山のアーティスト・瀧口さんも穏やかな笑顔が魅力的なお人がら。患者会の代表として、同じ肺疾患を持つ人たちが集まるのもよく分かります。小湊鉄道の里山風景と瀧口さんの笑顔に癒されたのが理由でしょうか、取材後に工房をバックにして瀧口さんとブログ用の写真を撮ろうと思っていましたが、すっかり忘れてしまいました…。
治療法が確立されていない難治性の肺疾患において、情報交換や励まし合える患者会の存在意義はとても大きいと思います。現在、会員数は350名ほどという「非結核性抗酸菌症患者の会」の活動を、少しでも応援させていただきたいと思います。