毎日、歌と踊りを学び仲間と舞台を作る宝塚の生活は最高でした
小さい頃から歌ったり踊ったりすることが大好きでした。プロのミュージシャンを目指していた両親の影響も大きかったと思います。家ではビートルズやモンキーズの曲がよく流れていました。
音楽や体を動かすのが好きだった私は、インテリアにも興味がありました。進学先として選んだ工業高校で、私の将来を変える友人との出会いがありました。
その友人は大の宝塚歌劇団好きで、高校を卒業したら宝塚音楽学校に入りたいというんです。私はバレエや歌などのレッスンを受けていませんでしたが、友人といっしょに軽いノリで受験することにしました。結局、友人は受験せず、音符も読めずダンスの基礎もない素人同然の私がまさかの合格。人生、どうなるか分かりませんね。
「宝塚はけいこや人間関係が厳しそう」とよくいわれますが、私は音楽学校の在学中も歌劇団に入ってからも、つらいと思ったことは1度もありませんでした。大好きな歌と踊りを学びながら、仲間とともに舞台を作り上げていく――そんな環境が楽しくてたまらなかったのです。
宝塚音楽学校に入学して、寮に入ったこともいい思い出です。同期の部屋にみんなで集まり、夜な夜な女子トーク。朝まで会話が盛り上がり、一睡もせずに翌日の舞台に立ったこともありました。
月組のトップになれたのは、ほんとうにたまたまです。仲間といっしょに1つの舞台を作り上げる毎日がとにかく楽しかった。そして、私たちの舞台を楽しんでくださるお客様に、宝塚という夢の時間を届けられることが最大の喜びでした。
宝塚歌劇団を退団した後、映画やテレビドラマのお仕事もさせていただきましたが、やはり私にいちばん合っているのは舞台。気づいたら、舞台のお仕事が多くなっていました。舞台に立っているときは不思議と自然体でいられるんです。これからもずっと舞台に立ちつづけて、100歳になっても踊っていたいと思います(笑)。
踊りつづけるための健康管理として健康診断は受けていますが、いつも「まったく問題ない」といわれています。ですから、自慢できそうな健康法もありません。
食事についていえば、私は周りが驚くほどの量を食べます。お米やパン、めん類といった炭水化物はもちろん、大好きなお肉も欠かせません。料理が好きなので自炊しますが、1日に5回食事をすることもあるんですよ(笑)。食べることが大好きなんです。
不眠症の傾向があるので、この数年は一睡もできない日がときどきあります。でも、気にしないようにしています。
体力に関しては、ふとしたときに衰えを感じることがあります。最近は近所のスポーツジムに行って、1時間ほど踊って体力が落ちないように気をつけています。
心配していることを挙げるとしたら、以前に手術を受けた影響で、数年に1度、腸閉塞(イレウス)が起こることです。腸閉塞が起こると七転八倒するほどの痛みに襲われます。周囲に迷惑をかけたくないのでなんとか防ぎたいのですが、担当の医師いわく、予防法がないそうです。なので、うまくつきあうしかないと思っています。
不眠症や腸閉塞の心配はありますが、ネガティブな感覚はまったくありません。不眠症に関しては「眠くなければ寝なくていい」「眠くなったら自然に眠るだろう」くらいに思っています。
誰でも長く生きていれば、病気に限らず、さまざまなトラブルや問題が起こります。トラブルが続いているときも「あとは運気が上がるだけだから大丈夫!」と考えるようにしています。
体の調子がいいときに、不調になったときの心配をするなんてもったいない。私は「今度の腸閉塞はいつ起こるのか?」なんて、ふだんはまったく考えません。起こるかどうかも分からないことに不安を感じるのではなく、いまこの瞬間を楽しんだほうが人生は豊かになると思います。
ちょっとしたことを楽しむ心がけが人生を豊かにしてくれます
私はいまやりたいことを、手帳にたくさん書いています。大した内容じゃありません。「バスツアーに参加したい」「水族館に行きたい」「自然が豊かな山に登りたい」など。時間さえあれば、誰でもすぐにできることです。
こんな〝ちょっとした楽しみ〟をいくつも持っていると、毎日が楽しく過ごせる気がするんです。そして、いざ実行できたときは、ちょっとした幸せと達成感が味わえます。
私の友人でがんを患っている人がいます。彼女は「がんがいつ悪化するかなんて考えていたら毎日がつまらなくなる。それよりも〝いま〟を楽しむんだ」と、私と同じような考え方で過ごしています。
トラブルや心配事にだけ目を向けず、楽しいことを考え、見つけ、実践する……。そんな毎日を過ごせれば、充実した人生になると思います。