「あなたの病気は〝むずむず脚症候群〟です」。睡眠障害の専門医からむずむず脚症候群(以後、RLSと表記)と診断されたとき、とにかく驚いたことを覚えています。
以後、多くの病院で診察を受けました。医師から睡眠薬を処方されたものの、RLSの症状はますます悪化していきました。そんなときに飲んだ、1錠のてんかん薬(ランドセン)で、あれほど苦しんできた夜にぐっすり眠ることができたのです。魔法の薬だと思いました。
RLSをインターネットで検索して見つけたのが、米国の患者団体・RLS財団のホームページでした。ホームページを見て、「なんとすばらしい団体であることか!」と思いました。数千名ものRLS患者さんから寄せられるすべての質問に、医師が回答していたのです。
刺激を受けた私は、一念発起。みずからホームページを作り、RLSに関するさまざまな情報を発信しはじめました。読売新聞に睡眠障害に関する記事として掲載されると、患者さんたちから多くのメールをいただくようになりました。RLSという同じ悩みを持っている患者がいかに多いことか――反響は大きく、私のもとに寄せられたメールの中には、医師から届いたメールもありました。
いただいた一通一通のメールに感激し、大きな刺激を受けた私は、RLSの患者に対するアンケート調査を実施しました。調査結果をまとめた報告書を記者会見で公表したところ、RLSの患者だけでなく、医師や製薬会社からも大きな反響をいただきました。
患者さんからは「薬を処方されたけど効果がない」「どこの病院のどの医師に診てもらったらいいのか、教えてほしい」といった、切実な悩みや相談が寄せられました。数百名の患者から寄せられた悲痛な叫びから、RLSの患者がいかに多いことかを痛感したのです。小さなお子さんの親御さんや、透析患者さんからメールをいただいたこともあります。
報告書を公表すると、多くの医師や製薬会社から共感をいただき、RLSの患者会を設立することをすすめられました。そこで、おもだったメール仲間に声をかけてみると、すぐに数名の患者が集まり、日本で初めてのRLSの患者会(むずむず脚症候群友の会)の設立にいたったのです。
いまあらためて振り返ってみると、友の会のネットワークが広がったのは、医師や製薬会社の協力が得られたのが成功のもとだったと思います。