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地球への優しさを証明!宗像市地島発の石けんプロジェクト

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シャボン玉石けん株式会社

無添加石けんのパイオニア企業として地球環境を守る取り組みを推進

福岡県北九州市に本社があるシャボン玉石けん株式会社は、無添加石けんの製造を行っている老舗企業です。創業(森田範次郎商店)は1910年で、1960年代には合成洗剤を主力商品としていましたが、1974年より無添加石けんの製造・販売に切り替えます。切り替え当初は売り上げが99%減少し、少ない時には社員が5人まで激減するなど苦難の道だったといいます。その後、時代とともに無添加石けんの需要が高まると、同社の製品に注目が集まるようになりました。特に近年では、化学物質過敏症に代表される、さまざまな化学物質による不調が問題となっています。無添加にこだわる同社は、化学物質による不調に悩む方やそのご家族から、大きな支持を集めるようになりました。現在では、無添加石けんのパイオニア企業として、固形石けんをはじめ、シャンプーや歯磨きといったさまざまなラインナップがそろっています。

地島全景

そんなシャボン玉石けん株式会社では、無添加石けんのリーディングカンパニーとして、地球環境を守るための活動を積極的に展開しています。その一つが、2021年9月から3ヵ月間に渡り、福岡県宗像市地島じのしまを舞台に行われたプロジェクトです。「未来の海を守る島まるごと無添加石けん生活」と題したプロジェクトの内容と、確かめられた調査結果についてお伝えしましょう。

このプロジェクトは、普段、私たちが使っている生活排水が環境に及ぼす影響を調べるために行われました。具体的には、

洗浄剤として石けんを使うことで、環境にどのような変化があるかを調査しました。プロジェクトメンバーには同社のほか、地元自治体の宗像市をはじめ、一般財団法人九州環境管理協会、山口大学大学院創成科学研究科が加わって調査が進められました。

プロジェクトの舞台となった宗像市地島は、玄界灘と響灘の境界部に面する島です。島の周囲は9.3㌔、人口は140人ほどの小さな島です。島内は泊地区と豊岡地区という2つの地区に分かれ、毎年皇室に献上しているワカメをはじめ、ウニやアワビといった海産物が豊富に獲れることで知られています。住民の方々は漁業従事者が多いことから、海の水質をはじめとする地球環境の変化は、生活に直結した問題といえるでしょう。

製品のラインナップ

では実際に、地島で行われた調査方法をご紹介しましょう。島内の一般家庭、地島小学校、漁村留学センター「なぎさの家」において、洗浄剤として石けんを使ってもらいました。住民の方に使っていただいたのは、無添加の石けんやボディソープ、シャンプー、リンス、歯磨き粉など、同社が製造する計19種類の製品です。各製品の使用を始めてから3ヵ月後、調査開始前後の生活排水における水質や生物の分析を行い、環境に対する影響を調べました。

洗浄剤に石けんを使うことで生活排水の質が向上した

海でのワカメとり

山口大学大学院創成科学研究科の研究チームによって水質の分析が行われた結果、石けんを洗浄剤に使うことで、以下の変化が確認されました。

水質が改善した(汚れの変化)
下水処理場から海に放流された水を分析した結果、洗浄剤に石けんを使うことで、処理後は水の汚れが少なくなることが分かりました。

微生物が増加した(環境の変化)
下水処理場の施設内にいる微生物を調査・分析したところ、洗浄剤に石けんを使用した後は、水の中にすむ微生物の種類と量が増えていることが分かりました。さらに調査を進めたところ、汚泥の状況が良好な際に現れる種類の微生物が確認されるなど、環境に良い影響を与えたことが確かめられたのです。

プロジェクトチームでは、調査の実施前後に地島住民の皆さんにアンケートを行っています。主要産業が漁業である住民の皆さんはもともと水質や環境に対する意識が高く、今回の調査結果だけでなく、環境教育の勉強会や実験に関わった経験によって一段と意識が高まったと考えられます。

石けんの使用は生育面の影響も大きいと実験で判明

地島住民の皆さんの協力によって行われた調査結果を踏まえて、プロジェクトチームの研究室では、採取したワカメを使った実験も行われました。石けんと合成洗剤をそれぞれ10倍に希釈した後、ワカメの幼芽に添加し、栄養と光を与えて2週間培養しました。2週間後にそれぞれの生育状態を調べてみると、合成洗剤を添加したワカメの幼芽は生長に悪影響が見られました。その一方で、石けんを添加したワカメの幼芽には影響がほとんど見られず、何も添加せずに培養した際の幼芽と同じように育っていたのです。

研究チームの記念写真

また、実際にはあり得ない環境であるものの、ワカメの幼芽に合成洗剤の原液を添加してみたところ、翌日には白化現象(栄養の欠乏やストレスによって個体が白く変色すること)を起こしていました。以上の実験から、無添加石けんはワカメの生長にほとんど影響を及ぼさないことが分かりました。この実験結果は、洗浄剤と生育環境の関係を調べた貴重なデータとなりました。

現在、日本国内はもちろん、世界中で地球環境を守るためのさまざまな啓発活動が展開されています。地球という大きな舞台であっても、環境を守るためには毎日の小さな心がけを積み重ねていくことが大切です。多くの人が、家事や入浴で毎日使っている洗浄剤を見直すことで、地球環境に大きな好循環をもたらすことでしょう。