管理栄養士 柴田 真希さん
「アーモンドミルク」という飲み物ついてご存じでしょうか。アーモンドと牛乳については知っていても、2つを合わせたアーモンドミルクという言葉を始めて聞いたという人もいらっしゃるかもしれません。スーパーマーケットやコンビニエンスストアには、牛乳や豆乳といった耳慣れたミルクが並ぶ中、このアーモンドミルクが“第3のミルク”として話題を集めています。新しい健康習慣のキーワードとして注目されているアーモンドミルクについて、管理栄養士の柴田真希さんにお話を伺いました。
「アーモンドミルクとは、アーモンドを原料に作る植物性の乳飲料のことをいいます。牛乳や豆乳などのミルクと比較して、低エネルギーで低糖質なのが特長です。しかも、アーモンドミルクに含まれるコレステロールはゼロ。そのため、ダイエット食材としての人気も高くなっています。さらに、アーモンドミルクは乳糖やグルテンを含まないので、乳糖不耐症などの体質の人も安心して飲むことができます」
ダイエットの成功や生活習慣病の予防を考えるうえで、カロリーの低さはうれしい点ですが、アーモンドミルクの栄養価についてはどうでしょうか。実は、カロリーの低さとは対照的に、アーモンドミルクには優れた栄養価があるのです。柴田さんはこのように解説します。
「アーモンドにはビタミンEとポリフェノール、オレイン酸、ミネラルが豊富に含まれています。なかでもビタミンEとポリフェノールは強力な抗酸化作用を持つ栄養素で、体のサビといわれる酸化から守ってくれます」
ポリフェノールとは、植物に含まれる苦みや色素となっている成分です。ブルーベリーに含まれるアントシアニンや緑茶に含まれるカテキン、ウコンに含まれるクルクミンなどが、その一例です。多くのポリフェノールと同じように、アーモンドに含まれるポリフェノールにも抗酸化作用が期待できるとされています。さらに、ビタミンEは脂溶性のビタミンとして知られ、ポリフェノールと同じように抗酸化作用があります。
柴田さんによると、アーモンドに含まれる栄養素を効率的に摂取するには、アーモンドミルクでとることが理想的なのだとか。その理由について解説していただきます。
「アーモンドの主な成分は、固い細胞の中に入っています。そのため、アーモンドをそのまま食べるよりも、粒を粉砕して細胞壁を砕くことがポイントです。さらに液状にすることで、栄養素が吸収されやすくなるといわれています」
健康に対する意識が高い人は、アーモンドの栄養価について知っている人も多いことでしょう。その一方で、アーモンドの粒の細胞壁を砕くことがポイントであることは、意外と知られていないのではないでしょうか。
アーモンドミルクの健康効果が広まるにつれて、毎日愛飲する人も増えています。現在、スーパーマーケットやコンビニエンスストアでは、手軽に買えるアーモンドミルクの製品が数多く登場しています。アーモンドミルクの人気と普及を裏づけるように、2021年度のアーモンドミルク市場の規模は前年比48%増、販売量は37%増となっているそうです(アーモンドミルク研究会調べ)。
自宅で簡単!アーモンドミルク作りに挑戦!
アーモンドミルクは牛乳や豆乳と同じように市販品を購入できますが、ご家庭で手作りすることもできます。アーモンドミルク研究会のレシピをご紹介します。
「アーモンドミルクは乳白色なので、砕いたアーモンドと牛乳を混ぜて作ると思っている人が多いようですが、アーモンドミルクを作るときに必要な材料は、アーモンドと水だけ。ご家庭で作る場合は、水に浸したアーモンドをミキサーなどで細かく砕き、細片を濾して作ります」
市販されているアーモンドミルクは、アーモンドを挽いてペースト状にしたものや、アーモンドをすり潰した後に水を加え、濾さないまま製品化したものなど、さまざまな製法によって作られています。市販の製品を味わう前に、まずは手作りのアーモンドミルクを楽しんでみましょう。
【用意するもの】
・生のアーモンド1カップ(ローストしたアーモンドでも可)
・水2カップ(浸しておく水は別に用意する)
・塩ひとつまみ
※お好みでバニラエッセンスやシナモンなどを使うといい
【作り方】
①アーモンドを水につける
生のアーモンドを1~2晩、水に漬ける。2晩ほど漬けておくと、濃厚なアーモンドミルクを作ることができます
※気温が高い場合は冷蔵庫で保存しましょう。
②ざるに上げる
水に漬けておいたアーモンドを、ざるに上げて水気を取る
③アーモンドの皮をむく
皮をむいて取ることで、なめらかな食感のアーモンドミルクになります
④ミキサーを使って攪拌する
ミキサーにアーモンドと水を入れて、1~2分間、きめが細かくなるまで攪拌します
⑤濾して絞る
ガーゼまたはさらしを使って濾し、絞っていきます
⑥アーモンドミルクが完成!
飲むときは、ふって混ぜるとよりおいしくなります。保存は冷蔵庫を使い、2~3日以内に飲み切りましょう。ローストアーモンドを使って作ったときの保存期間は5日程度と考えてください
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