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図形の組み合わせで起こる〝シェパード錯視〟に挑戦!

Dr.朝田のブレインエクササイズ!

シェパード錯視 答え

[あさだ・たかし]——筑波大学名誉教授。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科、山梨医科大学精神神経科講師、筑波大学精神神経科学教授などを経て現職。数々の認知症の実態調査に関わった経験をもとに、認知症の前段階からの予防・治療を提案している。著書に『その症状って、本当に認知症?』(法研)など多数。

さて、問題の解答に入りましょう。主題であるシェパード錯視とは関係のない答えが⑥です。これはよく見るだけでたどりつけるでしょう。シェパード錯視と関係があるのが、②の平行四辺形です。シェパード錯視は、脳がイラストを三次元でとらえようとすることで起こります。つまり、Aも②も二次元に描かれた平行四辺形であるにもかかわらず、隣接する図形と組み合わさった縦に長い直方体の一部の面ではないかと脳が認識してしまうのです。

イラストを三次元として認識しようとすると、同じ線でも脳内では遠近法を踏まえて図形を修正してしまうため、実際の形をゆがませてとらえてしまいます。多くの方は、②の図形をAと比べるとよりずんぐりとした平行四辺形ととらえたのではないでしょうか。

さて、答えの中に、Aと②の対応する角に円弧を描いてみました。これで対応する辺が同じ長さなのが分かってもらえると思います。ここまでたどりつけば、②と平行な位置にある⑩がAと重なることが理解できると思います。

次に、Aと重ならない平行四辺形を見ていきましょう。Aと⑥に隣接する二つの平行四辺形(⑤と⑦)は、Aと鏡像の位置関係にあるので重ねることはできません。さらに、残りの平行四辺形は、鏡像であるものもありますが、③、④、⑧、⑨は辺の長さが合致しません。

錯覚は目ではなく、脳で起こります。平行四辺形としては同じ形なのに、位置によって、また周囲の図形によって脳がだまされてしまうのです。まだ答えを信じられないという方は、最終手段としてAをハサミで切ってほかの平行四辺形と重ねてみるといいでしょう。