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腸内環境の悪化で起こる加齢臭やミドル臭に要注意!

クマ先生の免疫学的なお酒と料理の楽しみ方
熊沢 義雄

[くまざわ・よしお]——医学博士(京都大学)。元北里大学教授。山梨大学大学院発酵生産学修了後、北里研究所、北里大学薬学部・理学部に40年間在職。順天堂大学医学部非常勤講師。専門は生体防御学(免疫学)。日本細菌学会名誉会員。現在は北里大学発のベンチャー企業の代表として奮闘中。

知人から、「お金持ちですてきな方から求婚されたが、加齢臭に耐えられなかったので断った」という人の話を聞きました。最近では〝ミドル臭〟というにおいもテレビで話題になっています。青年期の汗のにおいはあまり問題にされませんが、加齢臭やミドル臭を女性や子どもが気にするのは〝男の老化〟を察知させる感覚が鋭いからでしょう。

加齢臭は、皮脂から作られるノナネールという成分が原因で起こります。ミドル臭は、皮脂が皮膚にすむ菌によって分解されて生じるジアセチルという成分によるものです。

「自分は清潔にしているから大丈夫」と思っている人は多いかもしれませんが、皮膚には1兆個もの菌がすんでいます。菌が皮脂を分解することで、それぞれの体臭の原因となっているのです。

人によっては、加齢臭やミドル臭より口臭が気になるかもしれません。もっと嫌われるのがタバコ臭です。喫煙者はタバコ臭のひどさを自覚しにくいものですが、周囲はたまったものではありません。飲食店をすべて禁煙にすると、お客さんが減るといって反対する人がいます。しかし、これからは多くの外国のように、タバコを吸いたい人は外で吸うしかないでしょう。

口腔内には100億個の菌がすんでいます。口臭は口腔内の菌が食べかすなどを分解することで生じますが、便秘の人は、腸からの腐敗臭も混ざってきます。40歳を過ぎると女性はホルモンの量が減少して歯周病になりやすいといわれています。歯周病も口臭の原因になります。

腸内環境

腸内細菌叢のことを「腸内フローラ」といいますが、腸内環境が悪くなると、オナラが臭い、便秘や下痢になる、肥満になる、肌が荒れる、自律神経が乱れる、気分が落ち込むようになる、睡眠障害になる、免疫力が低下するなど、さまざまな症状が起こるようになります。そして、なによりも老化が加速します。ハンバーガーやフライドポテト、甘い炭酸飲料といったファストフードをはじめ、脂が多い加工肉や霜降り肉のとりすぎ、野菜嫌いといった食生活は腸内環境を悪くします。

酪酸菌が健康にいいといわれています。短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)を生産する酪酸菌のエサは食物繊維です。食物繊維が少ない食事をとっていると、酪酸菌は栄養不足になって死んでしまいます。やはり偏食はよくないのです。

「年を取ったら肉を食べたほうがいい。だからステーキを食べよう」という風潮があります。確かに、年を取ったら筋肉を作るたんぱく質をとるべきという考えは正しいですが、肉類だけからとるべきではありません。魚肉や植物性のたんぱく質もあります。肉食が多いと思われがちな米国では、赤身肉を週4日以上とらないようにという指導がされています。肉食が多いと腸内環境が悪化するからです。魚類や植物由来のたんぱく質を有効に利用したいものです。

腸内環境をよくするためには、食物繊維といっしょにファイトケミカルと呼ばれる食物成分(テルペン・サポニン・βカロテンなど)を積極的にとることが大切です。腸内環境を整えれば、嫌な口臭や体臭を防ぐことができます。ただし、健康に役立つニンニクのにおいは我慢するしかないでしょう。