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地域ならではの初夏の味と適度な日光浴で元気になろう

クマ先生の免疫学的なお酒と料理の楽しみ方
熊沢 義雄

[くまざわ・よしお]——医学博士(京都大学)。元北里大学教授。山梨大学大学院発酵生産学修了後、北里研究所、北里大学薬学部・理学部に40年間在職。順天堂大学医学部非常勤講師。専門は生体防御学(免疫学)。日本細菌学会名誉会員。現在は北里大学発のベンチャー企業の代表として奮闘中。

江戸時代の俳人・山口素堂の「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」という句は、江戸っ子に初夏を感じさせる味として、カツオを詠んでいます。

回遊魚のカツオは、3月頃になると三陸沖から北海道にかけて、エサを求めて北上します。イワシを食べて脂が乗り、海水の温度が下がる9月になるとUターンして南下。戻りカツオとして賞味されます。3月頃に高知沖で水揚げされるのが、いまの初ガツオといえるようで、脂身が少なくさっぱりした味です。6月頃は房総沖で、7月~8月は三陸沖から北海道がカツオの最盛期となります。

初夏の味として海外に目を向けると、ドイツでは4月中旬から6月24日までシュパーゲル(白アスパラガス)を食べる習慣があります。「初夏を味わう期間」といってもいいでしょう。なぜ、6月24日までなのかというと、聖ヨハネの日(洗礼者ヨハネの誕生日)までという決まりがあるからです。日本でも、神事と食材は密接な関係がありますが、「何月何日まで食べる」という厳密な決まりがある食材は少ないかもしれません。

甘酸っぱい初夏の味といえる李(スモモ)は桃(モモ)と同じ食べ物と思われがちですが、実は違った種類の果実です。中国原産のスモモは日本に伝わって日本スモモとなりましたが、コーカサス地方原産のスモモはプルーンといわれています。スモモは英語でプラム、フランス語でプルーンといいます。

 

酸味と甘さがポイントのスモモは大石早生、ソルダム、太陽など、いろいろな種類があります。ポリフェノールが最も多く含まれているといわれるのがソルダム種です。

南北に長い地形の日本は、気候や風土の違いによって多くの食材があります。各地に赴けば、その土地ならではの旬の味を楽しむことができます。あるインターネットのウェブサイトで「6月の旬の食材ランキング」を調べてみると、第1位は新ジャガ、第2位は車エビ、以下はサクランボ、ウニ、アスパラガスの順でした。

5月頃から強くなりはじめた紫外線は、7~8月が最も強くなり、秋までは多くの天気予報で毎日、紫外線情報が流れるようになります。「紫外線を浴びると皮膚がんになる」というイメージをお持ちの方は多いと思いますが、実は紫外線を予防するようになっても、皮膚がんは10倍も増えているのです。がんは、喫煙や過度の飲酒、運動不足による肥満など、生活習慣の乱れが原因で起こるといわれ、紫外線を原因としたがんの発症は、わずか2%です。

逆に、紫外線によって体の中で作られるビタミンDが不足することで、乳がん、前立腺がん、大腸がんの発症リスクが高まることが指摘されています。紫外線の強い時期にTシャツと短パン姿で外に出て、15分間も太陽を浴びれば、1日で75~100マイクロ㌘のビタミンDを作ることができます。

病気を防ぐには適度な日光浴が大切です。ホルモンの一種でもあるビタミンDは、食事からとるよりも〝自分で作ること〟が大事といえるでしょう。