365調査隊
体を清潔に保ち、リラックス効果も期待できる入浴。風邪の時は控えたほうがよさそうですが、汗を流してスッキリすれば気持ちよく睡眠ができるかもしれません……。そんな風邪に関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
軽度の風邪で体力があれば入浴は可能
のどに痛みを感じたり、背すじにゾクゾクと悪寒が走ったり、なんらかの風邪の初期症状を感じた時、皆さんはどのように対処していますか?
風邪薬を飲んでとにかく早寝をするというのが模範解答ではありますが、問題はお風呂です。昔からよく「風邪の時は入浴を避けるべき」といわれます。これは一体なぜなのでしょうか。特に夏場は一日の汗をしっかり洗い落としてからベッドに入りたいものですが……。健康塾クリニックの鳥越勝行先生に聞いてみました。
「風邪の時に入浴を避けるべき理由としては、まず体温上昇のリスクが挙げられます。ただでさえ高熱を発している状態で、入浴によってさらに体温を上げることは、体に負担がかかりすぎてしまい、高齢者や小さなお子さんにとっては危険です。また、入浴による体力消耗で回復が遅れたり、入浴後の湯冷めで悪寒が悪化したりすることも考えられます」
さらに、発熱時に入浴するとめまいやふらつきなどの症状が出ることがあります。子どもや高齢の方は、注意が必要です。水分補給をしっかりしておきましょう。
「それに加えて、新型コロナやインフルエンザなどの感染力の強いウイルスでは、浴室を介してほかの家族に感染を広げてしまう可能性もあります。入浴する場合は、いちばん最後に入ることをおすすめします」
ただし、症状や状態によっては、入浴がプラスに働くこともあるのだそう。
「発熱が軽度で体力が十分にあるなら、入浴が大きな問題を引き起こすことはあまりないでしょう。衛生管理の点からも体を清潔に保つことは重要ですから、38℃くらいのぬるめのお湯で、短時間の入浴を心がければ、さほど体に負担をかけることはありません。むしろリラックス効果でストレスが軽減され、それが回復を促すこともあります。ただし、入浴後は体をしっかりと乾かして、暖かい環境で安静にすることをお忘れなく」
つまり、風邪の時の入浴は、あくまで体調しだい。今のように手軽に解熱剤が手に入らなかった時代は、念のために入浴を避けるべきという意見が主流でしたが、「解熱剤を使用することで体をらくにし、軽い入浴で清潔を保ってリラックスするほうが、体力の回復は早いのではないでしょうか」と鳥越先生。
なお、新型コロナウイルス感染症が流行している昨今は、咽頭痛やセキだけのケースも多く見られます。しかし、発熱していないからといって油断してはいけません。無理な入浴は避け、医師の診断を仰ぎましょう。