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京都発!環境と体に優しいアップサイクル食「カカオハスク」に注目!

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株式会社ビオスタイル 取締役 清水 裕介さん

地球環境の保護や食糧危機の問題が世界中で議論される中、日本国内でも多くの企業が独自のコンセプトに基づく新しい暮らしの提案をしています。関西地区に鉄道網を持つ京阪電気鉄道を擁する京阪グループは、「ビオスタイル」というブランドのもとに、おいしく健康的で環境と社会に優しい食材の発掘と普及に力を入れています。その中でも、健康意識の高い層から注目を集めているのが「カカオハスク」です。株式会社ビオスタイルの清水裕介さんにお話を伺いました。

「カカオハスクは、カカオ豆の皮にあたる部分で、長年にわたって廃棄されていた食材です。私たちは、このカカオハスクをアップサイクル(創造的再利用)することで、おいしく食品ロスの削減ができる暮らしを提案しています」

チョコレートの原料として知られるカカオには、抗酸化作用を発揮する植物色素のポリフェノールが含まれています。カカオのみならず、多くの植物は強い紫外線からの影響を防ぐために、みずから抗酸化物質を作り出しているとされています。そのため、食材としてのカカオにも抗酸化作用が期待され、近年になって大きな注目を集めているのです。

ひと口にカカオといっても、植物学的にいくつかの部位に分かれています。カカオの種子でチョコレートの原料となるカカオ豆をはじめ、カカオポッド(外皮)、カカオパルプ(果肉)、カカオ豆の皮にあたるカカオハスクに分けられます。チョコレートを作る際は、主にカカオ豆が使用されるため、残りの部位は多くが破棄されています。カカオハスクも同様に破棄され、その量は世界で年間70万㌧以上にも上ります。カカオハスクを廃棄することは、健康食材として貴重なポリフェノールも失っていることになるのです。

「そこで私たちは、廃棄されながらも健康食材としての機能性を秘めたカカオハスクに注目しました。カカオハスクを何らかの形で活用し、世界的に深刻な事態となっている食品ロスの問題に一石を投じたいと考えました」

世界的な食糧事情の問題は、日本国内でも深刻になっています。農林水産省の調査(2017年)によると、日本の食品ロスの年間量は約612万㌧。これは東京ドーム約5杯分にあたり、国民1人あたりに換算すると、毎日お茶碗1杯分の食料を捨てていることになるのです。

食品ロスの放置は食べ物を無駄にするだけでなく、地球環境の悪化を招く原因になります。さらには、未来の人口増加による食糧危機にも対応できないおそれがあります。食品ロスを減らすことは、世界中の人が直面している喫緊の課題といえるのです。

そのような背景の中、ビオスタイル社は、京阪ホールディングスのグループ会社として京都・四条河原町に複合商業型施設「GOOD NATURE STATION」を運営。食品をはじめ、健康と環境に優しい良質な品を提供しています。清水さんは、ビオスタイルならではの環境に対する向き合い方を提案し、店舗を通じて発信していると話します。

「食品ロスの問題をはじめ、地球環境を意識した取り組みは、現在では当たり前といってもいいかもしれません。とはいえ、ストイックに向き合うのは、ほんとうの意味での快適さや幸せとは異なると思います。我慢するのではなく、楽しみながら人に自然によい暮らしを送ることを『GOOD NATURE』というコンセプトで提案しています」

地球と人に優しく、おいしくて健康的な食品——さまざまな食材を吟味する中で、コンセプトに合致したのが、先に挙げたカカオハスクです。カカオハスクに目を向けた背景について、清水さんはこう話します。

「ひと口に食品ロスといっても、その種類はさまざまです。形が悪く、正規品として市場へ出荷できない野菜や果物、消費期限を過ぎた加工食品などが挙げられますが、食べる部分が少なく、多くが捨てられている食材への対策を考えました。リサーチを重ねた結果、『あまりにももったいない』と思う食材がカカオハスクだったんです」

カカオは世界中で年間約400万㌧以上も生産されるものの、チョコレートの原料となるカカオ豆以外の部分はほとんど捨てられています。カカオ豆に目を向けても、チョコレートの製造向けに使えるのは約7割で、残りの約3割はほとんど使われることがないとされています。

食品ロスの視点でカカオを見た時、食材として廃棄部分が多いことのほか、取引の現状にも食品ロスを招く原因があると清水さんは指摘します。

「主要なカカオの原産国は開発途上国が多く、児童の強制労働や安い賃金で働かされる労働搾取の問題があります。これらの問題を解決するのが、原料の生産者から適正価格で購入し、継続的に取引をするフェアトレード制度です。カカオのフェアトレードが普及することで違法な労働や取引がなくなり、カカオを無駄なく活用できる土壌が作られると思っています」

そんなカカオへの想いを、ビオスタイル社は「カカオのアップサイクル」として実現。カカオハスクをクローズアップした『GOOD CACAO』シリーズの商品ラインナップが評判を呼んでいます。

「カカオハスクを用いた商品ラインナップの中でも、リピーターが多いのがカレーです。南米コスタリカの農園で栽培・乾燥・発酵を監修したオリジナルカカオを使ったビストロ仕込みのカレーにカカオハスクの香りとコク、旨みが一緒に楽しめると評判をいただいています」

ビオスタイル社では、現地コスタリカの生産者と直接会い、農薬を使っていないカカオをフェアトレードで取引しています。カカオハスクの魅力を引き出す製品作りに注力していると、清水さんは話します。

『とろとろ野菜と白味噌の京風仕立てグリーンカレー』
『GOOD CACAO』シリーズの新商品。発売7ヵ月で販売個数2500箱を記録した『カカオ京せんべえ』シリーズから『カカオ京せんべえ 抹茶くりぃむサンド』

「私たちは、カカオハスクも生産者が愛情を込めて育てたカカオの一部ととらえています。カカオハスクにはカカオ豆とは異なる香りやコク、旨みがあり、抗酸化作用の期待からも優れた食品と位置づけています。食材としての応用範囲も広いため、『カカオカレー』シリーズを筆頭に、香りと芳醇な味わいが楽しめるクラフト仕上げの『カカオ生コーラ』『カカオジンジャーレモン』、京都の老舗和菓子店がレシピを監修した『カカオ京せんべえ』が好評で、新しい京都みやげとしても評価をいただいています」  カレーの隠し味など、新しい用途やおいしさを提供することでカカオハスクのブランド力を高めているビオスタイル社の『GOOD CACAO』シリーズ。2023年9月には、九条ねぎをはじめ、地元京都の和野菜と白味噌を生かしたグリーンカレーを新商品として発売。ココナッツミルクが苦手な人でも食べやすい和テイストのカレーは、京都の新定番商品として話題を集めています。