プレゼント

万病の元・活性酸素と慢性炎症を同時に防ぐ!ガンにも効果期待大のクルクミン!

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

病気の元凶である「活性酸素」「慢性炎症」の両方に効果を発揮する注目の成分「クルクミン」

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

最近の研究で、遺伝性以外の多くの病気は「活性酸素」と「慢性炎症」がその原因のほとんどを占めることが分かってきました。「三大死亡原因」といわれるガンや脳卒中、心臓病も、「生活習慣病」といわれる糖尿病や高血圧も、「難病」といわれるパーキンソン病やアルツハイマー病なども、活性酸素と慢性炎症が関わっているといわれています。今、病気の二大要素である活性酸素と慢性炎症の両方に効果があるとして注目され、研究が進められているのが「クルクミン」という成分です。

活性酸素に関しては、クルクミン以外にも効果的とされる素材はいくつも存在します。しかし、クルクミンは、発病要因として注目されている活性酸素だけではなく、「万病の元」といわれる慢性炎症に対しても効果を発揮する成分として注目されているのです。

クルクミンは「ウコン」という植物の根茎(こんけい)に含まれている成分で、南アジアやアフリカや中南米などの熱帯地域から亜熱帯地域にかけて分布するショウガ科の多年草です。カレーなどの料理に使われる「ターメリック」と呼ばれる黄色いスパイスとしても有名です。

ウコンの主要な産地であるインドでは紀元前2000年頃から栽培され、香辛料や生薬、天然色素として、着色料やアーユルベーダ医学の医薬品に利用されていたという記録が残っています。また、日本には平安時代に中国から伝わり、食用や着色料など、さまざまな用途で利用されてきたといわれています。

ちなみに、ウコンには「春ウコン」「紫ウコン」などいくつかの種類があります。その中でも、最も多く栽培されているのは、クルクミンがいちばん多く含まれている「秋ウコン」です。

ウコンから抽出されたクルクミンには、抗酸化作用や抗炎症作用、肝機能向上作用など、さまざまな健康効果があり、抗ガン効果も報告されています。クルクミンの抗ガン作用は副作用が非常に少なく有望視されていました。しかし、水に溶けにくい性質で、抗ガン作用を発揮するには大量投与が必要なため、これまではガン治療素材としては不向きとされてきました。

ところが、クルクミンの吸収性を上げる方法がいくつか考案され、臨床の現場で実用化されはじめているのです。クルクミンの吸収性を上げるためのヒントの一つが、クルクミンが体内に吸収される過程にありました。

実は、クルクミンはそのままの形ではほとんど体内に吸収されないことが分かっています。クルクミンが体内に吸収される際には「ジヒドロクルクミン」という形に変換され、さらにジヒドロクルクミンが「テトラヒドロクルクミン」という形に変換されて初めて体内に吸収されるのです。

テトラヒドロクルクミンは一般的に「還元型クルクミン」と呼ばれています。還元型クルクミンは、元のクルクミンよりも体内での持続安定性や活性酸素除去能力、炎症抑制効果などが高いことが判明しています。

アダムス触媒・水素添加によるクルクミンとテトラヒドロクルクミンとの変換図

テトラヒドロクルクミンという形は、体外でも作ることができます。そこで、「最初から体内に吸収される形で飲用すればよいのではないか」という考えのもとで実験が行われ、非常にうまく吸収されて体内で働くことが判明したのです。現在、還元型クルクミンを使用した臨床研究が世界各国で行われるようになっています。

さらにもう一つ、クルクミンの吸収性を上げる製法をご紹介します。還元型ではなく、クルクミンそのものの吸収性を上げた事例です。

クルクミンの吸収性が悪いのは、分子構造の大きさにあります。分子が大きすぎて腸管を通過しにくいのです。そこで、クルクミン分子をナノサイズに微細化し、ナノサイズの粒子を互いにくっつきにくくする分散加工を施した高吸収型クルクミンが日本のメーカーの特許技術で誕生しました。

この高吸収型クルクミンは一般のクルクミンと区別するために商標登録され、「セラクルミン」と呼ばれています。セラクルミンは通常のクルクミンより27倍から最大42倍も吸収率が高いことが実験で確かめられています。

世界中の医療機関との共同研究によって、セラクルミンが有するさまざまな疾患への効果が明らかになりつつあります。例えば、これまでに論文として発表された臨床試験には、脳機能、肝機能、アルコール代謝、変形性関節症、循環器機能、酸化ストレス、筋肉疲労、疲労感、クローン病、ガン、呼吸器などを対象としたものがあり、セラクルミンの有効性が報告されています。また、現在実施中の臨床研究としては、大腸ガンに対する予防効果の研究があります。

さらに、2019年10月に奈良先端科学技術大学院大学の加藤(かとう)(じゅん)()教授らの研究グループは、クルクミンの60倍以上も強力な抗ガン効果を持つ成分「PGV‐1」の開発に成功したと発表しました。PGV‐1は、ガンの増殖抑制効果や細胞周期停止、細胞老化誘導、細胞死誘導など、優れた抗ガン作用を発揮する一方で、正常細胞には影響を与えませんでした。PGV‐1の開発の成功によって、副作用のない飲む抗ガン剤の開発が期待されています。

このように、クルクミンという成分は抗酸化と抗炎症を高いレベルで同時に実現する治療素材として、現在たいへん注目を集めています。ただし、いくら効果があるといっても、食品成分であり、サプリメントである成分だけでガンをはじめとするさまざまな病気の完治に挑むのは難しいと思われます。

私が理事兼事務局長を務める日本先進医療臨床研究会では、現在「複合寛解(ふくごうかんかい)療法」という手法で、さまざまな治療素材や治療法を併用することでガンをはじめとする難病の治癒(ちゆ)・改善・再発防止に取り組んでいます。今後は、今回ご紹介した高吸収型クルクミンなども組み合わせて、現在よりもさらに治療確率が高い治療法を確立すべく、さまざまな治療の症例研究を行っていく予定です。