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脳の右も左も活性化!「漢字の対称クイズ」に挑戦!

Dr.朝田のブレインエクササイズ!

メモリークリニックお茶の水理事長 朝田 隆

「図形」といわれて漢字を思い浮かべる人は少ないのではないでしょうか。漢字は文字でありながら、図形としての側面もあるユニークな特徴があります。今回は、漢字ならではの特徴を生かした問題に挑戦してみましょう。

図形の側面も強い漢字は脳の左右に同時に働きかける独特な特徴を持つ

皆さんは、日常生活の中で漢字を図形として認識したことはありますか? そんなことを考えながら、問題に取り組んでみましょう。漢字の中心に縦の線を引いた時、左右対称の図形にならない漢字はいくつあるでしょうか。

漢字の対称クイズ

[あさだ・たかし]——筑波大学名誉教授。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科、山梨医科大学精神神経科講師、筑波大学精神神経科学教授などを経て現職。数々の認知症の実態調査に関わった経験をもとに、認知症の前段階からの予防・治療を提案している。著書に『その症状って、本当に認知症?』(法研)など多数。

専門家の中には、漢字を使う民族は、頭頂葉が関わるとされるデザイン力や方向感覚をつかさどる力(構成機能)が、漢字を使わない民族より優れているのではないかと注目している人がいます。漢字は、アルファベットと比べると複雑かつ多彩な形で、意匠をこらした図形ともいえる文字です。漢字を日常的に読み書きしているだけで、自然と頭頂葉のトレーニングをしているのかもしれません。

アルファベットと異なり、漢字は一目見るだけで意味をイメージしやすい特徴があります。漢字の中でも特に「山」や「亀」のような象形文字はとても分かりやすい文字です。やや専門的になりますが、漢字は形と意味、声に出して読む時の音も複雑に関係し合っているそうです。

脳科学では、左脳が言語、右脳が図形や映像をつかさどっているとされています。言語でありながら図形でもある漢字が持つ独特の特徴は、左右の脳の二つの半球が同時に、かつ共同で働くことで成立しています。

文字の処理には、「読み書き中枢」とも呼ばれる「角回(かくかい)」という大脳の一部が中心的に関わっているといわれています。漢字の場合、ほかの文字では難しいと思われる図形や映像に関わる右脳の働きまで促すことが大きな特徴といえるでしょう。漢字の読み書きが日常化している私たち日本人は、左脳の論理的思考を働かせるだけではなく、同時に右脳によるイメージ思考や直観思考を育んでいるのかもしれません。

今回の問題を見てみましょう。漢字を図形としてとらえる問題です。線対称になっている漢字は多いものの、「人」と「入」といったように、微妙な違いがある漢字は少なくありません。

では、今回の答えです。「西」「泰」「崇」といった、とめやはねがある漢字を対称・非対称のどちらに含めるか悩んだ人がいるかもしれません。そのため、明らかに対称ではない「下」「唱」「満」「国」「北」の五つを非対象と解答していれば正解としましょう。複数の漢字が並んでいると頭の中が混乱します。皆さんは小さな違いを見落とさずに正解にたどりつけたでしょうか。

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