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日本初!スーパーフード・青パパイヤ料理の専門店

ニッポンを元気に!情熱人列伝

SOM TUM CAFFEオーナー 杁山 恭弘さん

大切な人をがんで失った体験を機に飲食業へ転身

[いりやま・やすひろ]

ラジオ局の文化放送に長年勤務し、敏腕プロデューサーとして人気番組を生みつづけていた杁山恭弘さん。まったく異なる飲食業の世界へ進んだきっかけは、大切な人が病気になってしまったことだったといいます。

「お世話になっていた一つ年上の女性が子宮頸がんを患ってしまったんです。病気ひとつしたことがない元気な方で、話をうかがったときは大きなショックを受けました。すでに末期の状態で、医師から見放されてしまったとのことでした」

なんとか力になりたいと願った杁山さん。年間20万円以上を本の購入費にあてるほどの読書好きなことから、多くの本を読んで役立つ情報を探し求めたといいます。

「私たちの体を作っているのは食です。健康はもちろん、がんに打ち克つ体を作るためには食に大きなヒントがあるのではないかと、学術書や専門書を43冊読みました」

杁山さんが情報を集めている中で知ったのが青パパイヤでした。しかも、その女性は青パパイヤを使うタイ料理のサラダ「ソムタム」が好きだったことから、青パパイヤへの関心が高まったそうです。

納豆やキムチなどでアレンジした「納豆キムチソムタム」1000円(税別)

「日本での青パパイヤの入手法や流通を調べているうちに、その女性は亡くなってしまいました。落胆していたときに、自宅の食卓でソムタムが出たんです。妻にどこで買ったのと尋ねると、スーパーマーケットで売っていたとのことでした。日本で手に入るのなら、青パパイヤを使って何かできるんじゃないかと思いました」

大切な人を病気で奪われることの悲しみを知った杁山さん。

健康な人を病気から遠ざけ、病気を患っている人を元気にしたい——そんな思いが募った杁山さんは、長年勤めた文化放送を退社。青パパイヤを使う飲食店を始めることにしたのです。

栄養素が豊富な完熟前の青パパイヤはまさにスーパーフード

青パパイヤの葉を使った「ソムタムティー」300円(税別)

私たちの体を構成している大切な食事。現在の日本ではハイカロリーの欧米食をはじめ、加工食品をとる人が多く、生活習慣病の原因になっているといわれています。ハンバーガーやピザといった、噛まずに食べられる柔らかい食事が増えている問題も指摘されています。

「現代人は食生活が乱れていると感じます。健康を維持するうえで大切なのは、腸内環境を整えることであると多くの本で学びました。完熟前の青パパイヤには腸内環境を整えるパパイン酵素が含まれています。青パパイヤの食物繊維は腸内の掃除もしてくれます。抗酸化作用があるポリフェノールやビタミンCも豊富です。ソムタムを食べるときに咀嚼すると唾液が出てきます。唾液は消化を助け、抗菌作用もある大切な体液です。青パパイヤを使ったソムタムは、まさにスーパーフードといえる料理なのです」

2019年9月、杁山さんは東京都港区にソムタムを看板メニューとした「SOM TUM CAFFE(ソムタム カフェ)」を開店。使用する青パパイヤは無農薬・有機栽培の国産品にこだわり、現在は全国の十数ヵ所の栽培農家と契約しているそうです。

青パパイヤは9月~12月頃までは関東近郊で、12月以降の寒い時期は沖縄県や東京都の小笠原諸島から仕入れているとのこと。青パパイヤは空輸中に黄色く熟してしまうことがあるため、仕入れには慎重な判断が求められるそうです。

「お店で出すのは、600~800㌘の青パパイヤが適しています。その大きさの青パパイヤをお客様にお出しできるように農家さんに出荷をお願いしていますが、青パパイヤは成長が早いんです。空輸中に黄色く熟してしまうと、青パパイヤならではの栄養素が減ってしまうので、仕入れた青パパイヤが無事に届くまで気が抜けません」

青パパイヤの存在を広く知ってもらうために通信販売も展開

青パパイヤは石臼を使って、ていねいに処理している

青パパイヤ料理に特化したマーケットがなかったことから、杁山さんは開店の準備を手探りで進めたと振り返ります。 

「どんなに調べても青パパイヤの専門店がなかったので、参考にできる事例がありませんでした。でも、放送局に勤務していたときは、何かを真似た企画は嫌いでゼロから作る番組が好きでした。考えすぎると先に進めないので、とにかく動こうと思いました。いまも毎日走りながら『これは大変だ。どうしたらいいのだろう?』『そういうことだったのか!』と、疑問や発見との出合いを楽しみながらやっています」

これまで40回以上、タイ旅行をしている杁山さん。多くのタイ料理を知っていたものの、日本人に好まれるソムタムを作るために、タイ料理の教室に通って研究を重ねたそうです。

「例えば、私の店では仕入れた青パパイヤを専用の皮むき器でスライスした後、食感を柔らかくするために石臼で突いて処理しています。タイでは木臼を使って突きますが、日本人は柔らかい食感を好むので、木臼で処理すると硬くて噛みにくくなるんです。ソムタムのソースはライム、タマリンド、ココナッツシュガー、ナンプラー、ニンニクなどから作り、油はいっさい入れません。タマリンドは整腸作用や糖質の吸収抑制作用が期待できますし、ココナッツシュガーは砂糖に比べて血糖値の上昇が緩やかで、ミネラル分も豊富です。イワシを発酵させて作る調味料のナンプラーは発酵食品ですから、腸内環境を整えるのに役立ちます」

青パパイヤをはじめ、調味料も高値なことから、経営的には利益が出にくいと苦笑いする杁山さん。それでも気軽に食べられる価格にしているそうです。

「正直なところ、原価を考えるとこの価格では厳しいのですが、青パパイヤは月に一度の特別な食事でなく、週に2~3回食べて健康になってほしいんです。おかげさまで、一度ご来店されたお客さんの多くがリピーターになっていただいています。週に何度もお見えになるお客さんもいらっしゃるんですよ」

店内では、看板メニューとなる数種類のソムタムをはじめ、青パパイヤの日替わりスープ、ソムタムティーなどを味わうことができます。遠方などで来店できない人のために、リーズナブルな価格で通販を開始。青パパイヤを自宅で簡単に調理できるレシピも提供しています。

「通販でおすすめなのが、青パパイヤの葉を使ったお茶です。青パパイヤは葉にも抗酸化作用があるので、体を酸化させてしまう過剰な活性酸素を除去するのに役立ちます。ぜひ試していただきたいです」

日本初の青パパイヤ料理の専門店として挑戦を続ける杁山さん。彩りも美しい青パパイヤ料理には、お客さんの健康を願う杁山さんの思いが詰まっています。

青パパイヤを思わせるグリーンの外観
10坪の店内はカウンターのほかにテーブル席がある