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新型コロナウイルスが〝普通のカゼ〟になる日まで長期的な対策を取りましょう

クマ先生の免疫学的なお酒と料理の楽しみ方

熊沢 義雄

[くまざわ・よしお]——医学博士(京都大学)。元北里大学教授。山梨大学大学院発酵生産学修了後、北里研究所、北里大学薬学部・理学部に40年間在職。順天堂大学医学部非常勤講師。専門は生体防御学(免疫学)。日本細菌学会名誉会員。現在は北里大学発のベンチャー企業の代表として奮闘中。

新型コロナウイルスによる感染がパンデミックとなり、感染を身近に感じるようになっています。多くの人が死の恐怖を感じている一方、50%の人は感染しても発症しない()(けん)(せい)感染で、30%は感染しても軽症ですむといわれています。

この感染症は、ウイルスが増殖してすべての呼吸器系の細胞が破壊されるために死に至るのではありません。ウイルスの増殖によって炎症が生じると、免疫の暴走である「サイトカインストーム」が起こって血栓が生じることで肺が機能不全に陥るのです。

ウイルスの感染初期は、インターフェロンや抗菌ペプチド、食細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などの自然免疫が働いてウイルスの増殖を防いで排除します。50%の人は感染しても発症しない不顕性感染ということから、この段階でウイルスが排除されます。

しかし、不顕性感染の中には、ウイルスの増殖が起こっても発症に気づかない人もいることでしょう。ウイルスに感染・発症しても軽症ですむ30%の人は、自然免疫のバリアだけでなく、作られた抗体がウイルスの増殖を抑制して排除する「獲得免疫」が働いています。

新型コロナウイルスの対策は、ウイルスが侵入しないようにすることがいちばんです。侵入しても、自然免疫の力で不顕性感染の段階で抑えるか、抗体を作って軽症ですませる段階で抗ウイルス剤を使用できれば、新型コロナウイルスは〝普通のカゼ〟と同じになるでしょう。

感染後に重症化しやすいのは、糖尿病や動脈硬化、関節リウマチなどの自己免疫疾患、がんなどの慢性炎症を原因とする疾患を持っている人です。また、ぜんそくやCOPD((まん)(せい)(へい)(そく)(せい)(はい)(しっ)(かん))、(かん)(しつ)(せい)(はい)(えん)の患者さんはハイリスク群に属します。

新型コロナウイルスの感染対策は、日頃から慢性炎症が起きないように心がけて、自然免疫のレベルを上げることです。ビタミンDの血中濃度を高めるために日光浴を習慣づけて、ファイトケミカル(テルペノイド・カロテノイド・フラボノイド)を多く含む食品をとり、水溶性食物繊維を摂取して善玉菌が多い腸内細菌(そう)にすることが大切です。

ほかには、運動をして筋力を増やし、基礎体力を高めるのもいいでしょう。エネルギーが消費されて肥満を防ぐだけでなく、体温が上昇して免疫細胞も増えていきます。中高年は加齢によって体温が低下し、免疫細胞の数が減って免疫機能が低下しやすくなります。定期的な運動はとても大事な習慣です。

イベルメクチンやアビガンといった治療薬が使われようとしています。既存薬によって新型コロナウイルスに対する有効性が証明されるのはすばらしいことです。新しい抗ウイルス薬やワクチンの開発も期待されていますが、実用化までには時間がかかります。

新型コロナウイルスが〝普通のカゼ〟になるまでには、あと2~3年はかかるでしょう。私たちは長期的な対策を取る必要があります。まずは基礎体力を高めて、感染に強い免疫力を身につけましょう。