プレゼント

つらかった体験でも誰かの勇気につながります。あなただけのメッセージを伝えましょう!

患者さんインタビュー
一般社団法人ペイシェントフッド 代表理事 宿野部 武志さん

[しゅくのべ・たけし]——1968年、埼玉県生まれ。3歳のときに腎炎とわかり、大学受験の直前から人工透析を受ける。㈱ソニー勤務を経て、腎臓病患者のQOL向上を目的としたペイシェントフッドを設立。インターネットサイト『じんラボ』(https://jinlab.jp/)の運営をはじめ、患者・医療従事者の就労支援、透析施設のコンサルティングなども行う。

私たちペイシェントフッドが運営しているウェブサイト『じんラボ』では、これまで多くの患者さんや医療従事者の方々に記事をご執筆いただいています。特に、同じ病気を抱える患者さんが自身の体験と思いを書きつづる「研究員のはなし(体験談)」は、『じんラボ』を訪れる方々を励まし、悩みを解決する糸口となっています。

実際に、『じんラボ』の体験談を読んだ患者さんたちから、「記事を読んでとても励まされた」「病気と向き合う気構えができた」といった感想やお礼のご連絡をいただくことも少なくありません。

病気を抱えるということは、やはりつらいものです。人生において病気はマイナスの体験・思い出として胸に刻まれることは確かです。しかし、マイナスの体験としかとらえられなかったつらい思い出が誰かを励まし、勇気づけ、前を向く力を与える〝プラスのパワー〟を持っていることも確かなのです。

宿野部さんは小学校の課外授業として自身の体験を語る活動も行っている

ぜひ、あなたの体験と思いを誰かに伝えてみてください。具体的な方法としては、ブログを書いてみるのもいいでしょうし、患者会に参加してお話しするのもいいかもしれません。

「文章を書くのが苦手」「何を書けばいいのか分からない」という方もいらっしゃると思います。大丈夫です。私も苦手ですから(苦笑)。それでも私はブログを書いたり、毎週メールマガジンを書いたりすることで、少しずつ成長できていると思います。文章を書くのが苦手という人も、インターネットで検索すれば、文章の基本的な書き方のヒントが得られる時代です。まずはあなた自身が病気とともに歩んできた人生を振り返ってみるところから始めてみませんか?

自分自身の病気を振り返る作業は、いってみれば「人生の棚卸し」です。その作業は少しつらいかもしれません。思い出したくないことを思い出してしまうことがあるからです。それでも、人生の棚卸しをしていくと、つらかった病気の治療に向き合い、乗り越えてきた自分の姿に誇りを持てるようになっていきます。

人生の棚卸しによって、治療に向き合ってきた中で影響を受けた出来事、特につらかった出来事、感動した出来事が思い出されてくるでしょう。それこそが、あなたが誰かに伝えられる、あなただけのメッセージだと思います。
世の中にはあなただけのストーリーを待っている人がおおぜいいます。ぜひ、あなたなりの言葉で広く発信してみてくださいね。