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「女形判別クイズ」に挑戦して脳の顔認証システムを刺激!

Dr.朝田のブレインエクササイズ!

メモリークリニックお茶の水理事長 朝田 隆

私たちが「人の顔」を認識する時、どのパーツを見て判断していると思いますか? 私たち人間は一人ひとりの顔を区別するために、脳で特別なシステムを発達させています。今回は、私たちの脳に備わっている「顔認識システム」からの出題です。

脳には人の顔を認識するためのシステムがあり目→鼻→口が優先順位

[あさだ・たかし]——筑波大学名誉教授。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科、山梨医科大学精神神経科講師、筑波大学精神神経科学教授などを経て現職。数々の認知症の実態調査に関わった経験をもとに、認知症の前段階からの予防・治療を提案している。著書に『その症状って、本当に認知症?』(法研)など多数。

人の名前を覚えることが苦手という人は少なくないと思います。では、人の顔を覚えることはいかがでしょうか。名前を覚えることに比べると、人の顔を覚えることはずっと簡単と考える人が多いと思います。では、皆さんが人の顔を覚えようとする時、脳はどの向き・角度で顔を判断していると思いますか?

人間の脳には、人の顔を認識したり覚えたりすることを専門にする部位や細胞があります。「顔認識システム」と呼べる脳の機能には、ある特徴があります。特徴を解説する前に、問題のイラストをご覧ください。Aの女形を演じているのは、①~③のうち、どの人物でしょうか。

女形判別クイズ

履歴書や運転免許証、各種証明書など、公的な書類の多くは正面から撮った顔写真が求められます。真横から撮った顔写真が必要な書類はあまり見かけません。一方、斜めから撮った顔写真を見た時はどんな印象になるでしょうか。正面から撮った写真よりも自然で感情のこもった表情に感じられるのではないでしょうか。この感覚は、脳の「顔認証システム」の働きによるものです。

顔の記憶や認識をする際、正面・真横・斜めの中では「斜め」から見た時が最も印象に残りやすいとされています。その理由は、斜めから顔を見た時に視覚的な情報が最も多く得られるからです。正面や真横から顔を見た時、脳には二次元的な情報として受け止められます。一方、斜めで見た場合は立体的な三次元の情報も加わります。例えば、鼻の高さや傾き、目のくぼみやほおの膨らみといった情報が可視化されるのです。逆に、今回の問題のように斜めから見た顔が確認できれば、正面や真横から見た顔も推定できるはずです。

また、私たちが人の顔を見る時、脳が認識するパーツには優先順位があります。具体的には目→鼻→口の順です。今回の問題を解きながら、ほんとうにこの順序かどうかを意識してみるといいでしょう。

今回の問題を解く際に忘れていけないのが、パーツの動きに伴う表情の変化です。目は動かして形を変えることができますが、両目の間隔は変えられません。鼻は動かせませんが、唇の形は自在に変えることができます。お化粧で女形に変身したのも、カモフラージュによる変化を狙っています。脳の顔認証システムが混乱しないよう、パーツの動きや変化に注意してください。

答えは次ページです。

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