アスリートゴリラ鍼灸接骨院院長 高林 孝光
筋肉の動きや状態から独自に考案した整復術「超時短テク」が患者さんの間で大評判
私が院長を務めるアスリートゴリラ鍼灸接骨院は、東京都足立区にあります。私のもとには小さなお子さんからご高齢の方、スポーツアスリートに至るまで、多くの方が来られています。
来院される方が痛みを訴える部位はさまざまですが、物を「つかむ・つまむ・握る」といった生活に欠かせない動作を担う「指関節」に痛みが生じると、生活の質が著しく低下します。指関節に起こる代表的な疾患が、へバーデン結節です。
ヘバーデン結節は、指の第一関節が腫れてコブ状の結節ができる関節症の一つです。症状が悪化すると痛みやこわばりだけでなく、指関節の変形を伴うことも少なくありません。へバーデン結節という病名は、この関節症を最初に発見した医師の名前から付けられました。
へバーデン結節が起こる明確な原因は今も明らかになっていませんが、痛みやこわばりの原因には「腱」の損傷が関係しています。腱は骨と筋肉をつなぐロープのような役割を果たしている組織で、腱鞘いうトンネルの中を通っています。これらの腱や腱鞘が損傷して炎症が起こると、痛みやこわばりを感じるようになります。
さらに、腱が縮むことで指関節の隙間がなくなり、指関節が摩耗していくと変形の原因になります。その際に、削れた軟骨が周辺の神経に触れることで痛みを起こすと考えられます。なお、へバーデン結節とは手指の第一関節に腫れや痛み・こわばりが起こる症状で、第二関節に起こった場合はブシャール結節といいます。
そのほか、腱と関連して起こる指関節の異変として挙げられるのが、主に指の使いすぎによって起こる「ばね指」です。正式には「弾発指」と呼ばれるばね指は、意思と反してばねのように指が動き、スムーズな曲げ伸ばしができなくなる疾患です。
ばね指は、腱の肥大や腱鞘の肥厚によって、腱鞘の中を腱が通りにくくなることが原因とされています。ばね指は出産後や更年期の女性をはじめ、関節リウマチや糖尿病、透析治療を受けている患者さんに起こりやすいことが分かっています。ばね指にかかると、親指以外の指のつけ根に痛みを伴ったこりが現れます。
指関節に限らず、私のもとに来られる患者さんにとって、いちばんつらいのは「痛み」です。患者さんたちの中には、「病院で出された鎮痛薬や湿布薬を使っても痛みが治まらない」と嘆く人も少なくありません。確かに、対症療法としての鎮痛薬や湿布薬には一定の効果がありますが、根本的な治癒は期待できません。その結果、多くの患者さんは痛みを解消できないまま、つらい毎日を過ごしているのです。
私にとっての治療とは、痛みの悪循環を少しでも早く断ち切り、痛みを根本的に取り除くことです。そのため、私の接骨院では、患者さんの痛みの部位だけを診ることはありません。全身の骨や筋肉の動きとバランスを見ながら原因を突き止め、適切な施術をしています。
指関節をほぐした後、左右の指を比べて長くなっていれば関節の周辺がほぐれた証拠
私の接骨院では、痛みの消失を目的とした独自の理論から、瞬時に痛みを取り去ることができる「超時短テク」と呼ぶ独自の施術法を開発し、患者さんの治療と指導に生かしています。今回は、ヘバーデン結節の痛みを和らげるために、患者さんご自身ができる指関節症の超時短テク「高林式指関節ほぐし」をご紹介したいと思います。
ヘバーデン結節やばね指で起こる痛みとこわばりを軽減するには、指関節周辺の硬くなった筋肉をほぐすことが大切です。筋肉がほぐれたら、腱を伸ばして、狭くなった関節の隙間を広げていきます。
まずは最初に、両手首の位置をそろえ、手のひらを合わせながら、左右の指先の長さを比べてみましょう。続けて、右手の中指で左手中指を押し、10秒間ほど無理のない範囲で反らせてみてください。
その後にもう一度、手首の位置を合わせて左右の中指の長さを比べてみましょう。反らした左手の中指が長くなっていれば、関節周辺の筋肉と腱がほぐれて関節の隙間が広がった証拠です。指関節に明らかな変形が見られる場合は改善が難しいものの、「高林式指関節ほぐし」は、短時間で指関節の周辺をほぐし、関節の隙間を広げることができる方法です。ヘバーデン結節は朝の起床時に痛みやこわばりを感じやすいため、毎朝の起床後に実践するといいでしょう。
[超時短! 高林式指関節ほぐし]の動画はアスリートゴリラチャンネルでご覧になれます。