雨野 千晴
「パラレルキャリア」ってなに?うっかりさんにおすすめの働き方
私は今、「パラレルキャリア」という生き方・働き方を選んでいます。パラレルキャリアとは、経営学者のピーター・ドラッカー氏が提唱した生き方・働き方。報酬を目的とした活動だけでなく、ボランティア、社会貢献活動、趣味や文化・芸術活動など本業以外に複数の仕事・役割を持ち、複数のキャリアを築くこと(複業)を指しています。
一つの組織だけに依存するのではなく、活動の幅を広げて複数の軸足を持つと、本業だけでは得られない経験、知識、スキル、人脈、居場所など、さまざまなものが得られます。そこから収入につなげていくこともでき、起業や独立を考える方は、本業で安定した収入を得ながら準備をすることも可能。なにより、自分のやりたいことを自分自身でかなえられる。人生への満足度が上がり、より楽しみながら「自分らしく生きる・働く」ことができるのです。
と、よさそうなことばかり書きましたが、私自身は意図してこのような働き方を選んだわけではありません。
私は勤続10年目に小学校教員を退職しました。子どもたちの成長に寄与できることにはやりがいを感じていましたが、教員の仕事はたくさんの事務作業、書類作成、校務分掌があり、「うっかり」な私では時間内にこなすことのできない仕事量でした。公務員という安定した職を辞すことに正直迷いもありましたが、土日も出勤し、夜も10時近くまで働いていた独身時代を振り返ると、息子二人を育てながら働くことは難しいと感じました。「好きなことをやりたい」というよりは「このままじゃ無理」という思いが大きかったんですよね。
そして、退職という大きな決断をするなら、自分の「好き」「得意」だけを活かして生きていけるのか実験しようと思いました。そこから、SNSを通じて知った自分の興味のある人に会いに行き、お金になる・ならないにかかわらず自分の興味のあることをやっていくうちに、結果的に少しずつ「好き」「得意」が仕事になっていったんです。
消去法からの、今の働き方ですが、ADHD傾向の方にぴったりなのでは!? と感じています。
「いろんなことに広く浅く手を広げてしまう」「すぐ飽きる・続けることが苦手」「組織になじめない」。そんな一見弱みとも見える特性も、「それぞれの場所で培った人脈がつながり」「時代に合わせてしなやかに市場を選び」「カテゴライズを超えた価値創造ができる」強みに変えることができます。自分の中のさまざまな「好き」が営利・非営利を超えてつながりを生み、相乗効果で自分の心の居場所や対価を得る「仕事」として自分に返ってくるのです。
ただし! 早速やってみよう! という行動派の仲間たちに、ちょっと待った! 自分の経験則から、三つの注意点をお伝えしたいと思います。
【その1】パラレルキャリアは長距離走
いろいろなところに撒いた種は、仕事となり、収入にもつながっていきます。しかし、それはいつどこから芽が出るか分からない。ですから、「今の仕事をやめて次!」とするのはとっても危険。無理なくできるボランティアや副業からゆるゆると「好き」「得意」なことを始めていくのがおすすめです。
【その2】好きなことでも休みは必要
パラレルキャリアを続けていくと、仕事と休日・趣味の境目があいまいになっていきます。楽しい! でばく進していくうちに、気づけば疲れがたまり、心身に不調をきたすことも。ですから、自分で決めた「何もしない休みの日」をスケジュールに入れることも大切です。
【その3】自分のリラックス法を複数持つ
「好き」「得意」で楽しい! となるとアドレナリンが止まらない。そこから睡眠時間が乱れる方も。ですから、自分がリラックスできることを意識して生活に取り入れることも大事だなと思います。私はいい香りのするハンドクリームが好きなので、寝る前にそれをつけて手や足の裏をマッサージするとほっとできます。
パラレルキャリアが気になる!という方の参考になればうれしいです。