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ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる!第13回

ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる

雨野 千晴

やりたいことがたくさん!ADHD脳の「脳内整理」のすすめ

[あめの・ちはる]——北海道生まれ。北海道教育大学札幌校卒業。公立小学校教員として10年間勤務。2017年にADHD(不注意優勢型)と診断。現在はADHD専門ライフコーチ、NPO法人代表理事、福祉事業所スタッフなど"多動な"複業活動を展開中。

大人のADHDの方の中には、タスク(やるべき仕事)に追われて、いつも焦りやプレッシャーを感じている、という方が結構多いように思います。アイディア豊富、企画力・独創性も豊かなので、やりたいことが多様に浮かびます。行動力もあるので、結果として「やること」が山積みになってしまいがち。

私自身、イベントの企画を多数手がけていて、今ではお祭りをするためのNPO法人まで立ち上げています。しかし、なにかを「やる!」とスタートしても、当たり前ですが、ゴールまでの道のりに細かな「やること」がたくさん出てくるんですよね。お祭りであれば、日程・場所を確保する、出演者に依頼する、予算を立てる、チラシを作る、チラシを配布する……などなどなど。しかもそれを複数、同時並行で進めてキャパオーバーになってしまうことも。読みが甘い、計画性がない……それはADHD脳のワーキングメモリーが小さいことに由来しているという論もあるようです。だからこそ、「そんなんあり!?」という常識を覆すような、ほかの人が思い浮かばないアイディアを思いつくことができる、ともいえるのですが……。「やってみたい!」とわくわくした気持ちで走り出したのに、それで自分自身を追い詰めてしまうのは本末転倒ですよね。

タスク過多になりがちなADHDの仲間たちからは、「タスクの優先順位のつけ方が分からない」というお悩みが多く寄せられます。中には睡眠時間が2〜3時間になってしまっているという方も。私自身も、気づくと寝る時間が遅くなってしまっていることがよくあります。だけどやっぱり睡眠って大事! 寝不足だと次の日のパフォーマンスが大きく違ってきます。生きるための基盤となる、食べること、寝ること。当たり前だけれど、こういった生活の基盤を大事にするためにも、そのあふれるタスクの整理整頓が必要ですよね。

そこで今日は、私が開講しているADHD脳タイプ(女性のみ)を対象とした講座で取り組んでいる方法を、皆さんにシェアしますね!

①まずは、すべてのタスクをに書き出す

日常のことでも、仕事のことでも、趣味のことでも、カテゴリー分けせずにどんどん書き出していきます。ものすごい枚数になると思いますが、それを全部書ききることが大切。タスクはなるべく細分化して、細かく書き出していきます。頭の中にあるものを取り出して可視化するだけでも、頭の中がすっきりします。

②次に、不要なタスクがないか洗い出す

やらなきゃいけない、と思い込んでいたけれど、手放してもいいものはないか? いい人に見られたくて無理にやっていることはないか? 自分だけでやるのではなく、誰かにお願いして手伝ってもらえるものはないか? など、タスクを減らす前提で、すべてのタスクを眺めてみましょう。

③不要なものを外したら、タスクに期限をつけて時系列に並べてみる

「期限をつける」のがポイントです。時系列に並べてみると、同じ時期にタスクが集中していて、付箋を貼る場所がなくなってしまうことも。そうなると「ああ、これは無理だな」とさすがに自分でも納得して、「どちらかの時期をずらそう」「これは諦めよう」となります。可視化することで取捨選択や優先順位をつける必要がある部分が分かりやすくなるんです。

以上を定期的に振り返ります。私は半年に一度、振り返っています。見直してみると、できていることも、できていないこともあります。期限を過ぎてしまっているものは、自分を責める材料にするのではなく、期限を設定し直したり、取り組みやすくするための方法を選び直したりすればいいだけです。皆さんも「頭の中の見える化」にチャレンジしてみてくださいね。

イラスト/雨野千晴