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ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる!第16回

ADHD女子・雨野千晴のうっかりさんでもちゃっかり生きる

雨野 千晴

目が滑る!説明書が読めない!

[あめの・ちはる]——北海道生まれ。北海道教育大学札幌校卒業。公立小学校教員として10年間勤務。2017年にADHD(不注意優勢型)と診断。現在はADHD専門ライフコーチ、NPO法人代表理事、福祉事業所スタッフなど"多動な"複業活動を展開中。

みなさんは電化製品などを購入した際に、説明書をしっかり読みますか? 私は全然読みません。というか、読めないんです。ですので、「買った機器のボタンはとにかく全部押してみる!」が信条です(笑)。

ADHD脳タイプの方の中には、文章を読む時にあちこち気が散ってしまい、1冊の本を読むことが難しい、という方もいます。たくさんの文字があると読みにくい場合は、1行だけ見えるように周りを隠すと読みやすい、という方もいるようです。

では、私の場合はというと、文章全般が読めないわけではありません。読書は昔から大好きで、読みはじめると止まらなくなり、徹夜をして読んでしまうような子どもでした。ほかにしなければいけないことがあればあるほど逃避するように読書に没頭する……というところもあったように思います。試験期間にやろうやろうと思っている勉強には手が伸びずに、赤毛のアンシリーズを読破したり、「勉強1時間、5分休憩」と一応決めて勉強を始めても、いつのまにか「休憩1時間、5分勉強」に入れ替わっていたり!

そんなふうに文章を読むのが好きな私ですが、家電などの説明書は全然読めないんです。自分が興味のない文章は、何度繰り返しページをめくっても〝目が滑る〟ばかりでいっさい頭に入ってきません。とにかく押してみても大丈夫(壊れても自己責任……)な自宅の家電などはまだよいのですが、小学校教員時代は全校放送の設備や学校プールの水質清浄機など、絶対に壊せない……でも説明書が読めない! と困る場面が多くありました。しかも、直接教えてもらっても単純なボタン操作の順番が覚えられない、それでも自分がやらなければいけない……。初めのうちは同僚に聞いて教えてもらいながらやっていましたが、毎回毎回聞いていると「前も教えたよね⁉」ってなりますよね。

「何回教えてもできない」「一度できたのに操作を間違える」。そんな同僚や部下へのご相談をいただくことがあります。そこで今回は、そんな方におすすめな方法を2つシェアしますね!

①手順書を作る

1つひとつの操作を写真に撮り、短く簡単な指示文を横に書き入れます。使用する機器の横にラミネートして貼り付けておけば、新しく入った方への案内としても使えて一石二鳥です♪

②スマートフォンで動画を撮る

手順書は教員時代、子どもたちへの支援として作成することも多かったのですが、自分事となると写真を撮って印刷するのが面倒……。職場では忙しくてその手間が惜しい、ということもあるかもしれません。

そんな時は、初めに使い方を教える時に、本人にスマホでその動作を動画撮影してもらうというのはいかがでしょう。私は最近、もっぱらこの方法で乗り切っています! 分からなくなったらスマホで撮っておいた動画で確認する。しかし、なんでも撮りまくるとスマホに保存された大量のデータをさかのぼって探さなければいけなくなるので、「〇〇の使い方」など、名前をつけたフォルダを作って保存しておくのがポイントです。ここは面倒くさくても頑張ってやっておきます!

説明書が読めない&機械音痴な私ですが、最近は②の方法で乗り切れることが多いです。「周りに迷惑をかけなくて済む」ということもありますが、自分で取り組んだ工夫で「できない・苦手」と思っていたことが「できる」に変わると、自分、ナイス!とうれしい気持ちにもなります。

気持ちが上がると、そのほかの仕事にもよい影響がありますよね♪

「説明書が読めない! 機械を動かすのが苦手!」という方や、周囲にそんな方がいるという場合は、ぜひ試してみてくださいね。

イラスト/雨野千晴