プレゼント

お酒のアテにも最高!今夜は秋の味覚・キノコを楽しみましょう

クマ先生の免疫学的なお酒と料理の楽しみ方
熊沢 義雄

[くまざわ・よしお]——医学博士(京都大学)。元北里大学教授。山梨大学大学院発酵生産学修了後、北里研究所、北里大学薬学部・理学部に40年間在職。順天堂大学医学部非常勤講師。専門は生体防御学(免疫学)。日本細菌学会名誉会員。現在は北里大学発のベンチャー企業の代表として奮闘中。

秋の味覚を代表する食材の一つにマツタケがあります。全国の名産地から採れるマツタケはとても貴重な食材のため、私たちの口に入る機会はなかなかありません。そのため、スーパーマーケットでは米国やカナダ、中国産のマツタケが多く、最近ではブータン産のマツタケも見かけられます。

今年の6月に島根県の出雲空港で大きなマツタケを見かけました。気候の影響から秋でもないのに出てきた「早松」と呼ばれるマツタケです。

マツタケをはじめ、キノコはもともと栽培が難しい食材ですが、人工栽培の技術が発達したいまでは、いろいろな種類のキノコが食べられます。エノキタケ、ブナシメジ、エリンギ、シイタケ、マイタケ、ヒラタケ、ナメコなどは人工栽培によって入手しやすいキノコです。

「香りマツタケ、味シメジ」といわれるように、マツタケの魅力はその香りですが、マツタケ以上に香りのいいキノコにコウタケ(香茸)があります。コウタケもマツタケと同じように、人工栽培が難しいキノコです。

香りがいい西洋のキノコとしてはトリュフが知られています。白トリュフと黒トリュフがあるトリュフは、フォアグラやキャビアと並んで世界三大珍味の一つです。独特な香りがあり、地下で生育するキノコです。

多くの人にとってなじみのある乾燥シイタケは、和食に欠かせない食材です。旨味成分のグアニル酸が多く含まれています。

欧州ではマッシュルームもよく食されているキノコです。日本でも戦前から栽培され、戦後は台湾や韓国でも栽培されるようになりました。いまでは中国が世界のマッシュルーム栽培の中心地になっているようです。ドイツにいた頃、ワイン祭りが開かれるときはマッシュルームを使った料理が出ていたことを思い出します。

ハプト藻は地球で最も古い光合成生物といわれるマイクロアルジェの1種

しらたまの
歯にしみとほる秋の夜の
酒はしづかに飲むべかりけり
若山牧水

甘味の白玉ではなく、秋の夜に、しらたま(日本酒)を一人でゆっくり味わって飲む、そんな楽しみ方もいいのではないでしょうか?

キノコ料理はお酒のアテにもぴったりです。さっとゆでた新鮮なキノコをおろし和えにするだけでも最高のアテになります。キノコのてんぷらも日本酒によく合う料理です。

キノコは担子菌という、カビや酵母の仲間です。菌糸を伸ばした子実体からキノコの柄やかさの部分が作られます。低カロリーで食物繊維が多いキノコはビタミンB群やD2、ミネラルが多く含まれる優秀な食材なのです。

「健康365」のハナビラタケ特集で解説をされている宿前利郎先生(東京薬科大学名誉教授)とは、かつて研究をともにした間柄です。ハナビラタケをはじめ、多くのキノコに含まれるβグルカンには受容体が存在し、免疫系を刺激することが分かっています。