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「ドライアイ」のツボ 睛明・太陽

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

冬は寒さとともに空気が乾燥する気候となります。この季節で特につらいのは、目が乾くいわゆる「ドライアイ」です。しかしながら、季節に関係なくドライアイを発症して目の乾きに悩まされる人もいます。例えば、パソコンやスマートフォンを長時間使用している人は、目のまばたきが減るため、目の外側にある角膜(かくまく)が乾燥してドライアイを発症しやすくなります。

現在、日本国内でドライアイの患者さんは、約800万人もいるとされています。年齢別では高齢者に多いのが特徴で、その理由としては、涙の分泌(ぶんぴつ)能力が低下したり、刺激に対する感度が鈍くなったりして涙の分泌機能が低下することが挙げられます。性別では、女性のほうがドライアイにかかりやすいとされています。職業別では、ITなど情報関係の仕事に従事している人に多く見られます。

ドライアイが起こる原因には、涙の分泌機能と密接な関係があります。ひと口に涙といっても、涙は「油層・水層・ムチン層」という三層から構成されています。いちばん上の油層は、水分の蒸発を防ぐ役割があります。真ん中の水層には、①目に栄養分を運ぶ、②目の表面の乾燥を防ぐ、③目の角膜部分を滑らかにする、④目の表面に付着するゴミやホコリを洗い流すといった役割があります。目の表面(角膜)に最も近い位置にあるムチン層は、涙が流れ落ちないように安定させる役目をしています。

以上の三層のうち、いずれか一つでも不足すると、涙のバランスがくずれて安定性が失われるため、涙が角膜に定着できません。ドライアイは、この三層のバランスがくずれたときに発症します。また、ドライアイは環境によって発症や悪化しやすいとされています。IT機器以外にも部屋の空調、タバコ、コンタクトレンズの長期装用などといった理由が原因となって発症することもあります。

ドライアイの診断法として一般的なのが、目盛りがついた紙や糸を用いる「シルマー法」「綿糸法」という二つの方法です。シルマー法は涙の分泌量を測定する診断法で、規定時間に涙がどのくらい診断紙に吸収されるかを測って涙の量を測定します。5㍉以下の場合は異常が疑われます。綿糸法は、黄色い薬液を塗った糸が涙を吸い取ると赤色に変色する診断法で、下まぶたに糸を装着して測定します。綿糸法の場合、変色部分が10㍉以下の場合はドライアイと判定されます。ドライアイかどうかは、12個の項目を確認することでセルフチェックができます。

続いて、日常的に実践できるドライアイの対策法をご紹介しましょう。

①乾燥した部屋では、加湿器を使用したり、ぬれタオルを干したりする

②暖房器具からの風が直接目にあたらないようにする

③目に温かいおしぼりを乗せて、目に潤いを与える

③お風呂(ふろ)に入ったときはゆっくりつかることで、目の乾燥感を取り除く

私が専門とする(しん)(きゅう)は、ドライアイに対する効果が実証されています。鍼灸の効果ですが、私たちの研究グループがドライアイの患者さんに鍼灸による治療を行ったところ、(はり)刺激の十分後から涙液(るいえき)量の増加が綿糸法によって確認できました。この事実から、鍼灸治療はドライアイにも有効であることが分かりました。

ドライアイに効果のあるツボを二つご紹介します。「睛明(せいめい)」は、目頭と鼻のつけ根の間にあるくぼみにツボを取ります。睛明のツボに親指を当て、眉毛(まゆげ)の方向に押しながら五秒間刺激します。これを5回、計3セット行ってください。押す力は、親指で爪の色が白っぽくなる程度が適度な刺激です。

次に「太陽(たいよう)」のツボですが、眉毛の外側と目尻(めじり)の外側を結んだ線の真ん中から少し外側にあります。ツボの取り方は、こめかみのくぼみを目安にするといいでしょう。親指全体(指腹)で押し当て、円を描くように5秒間刺激します。これを5回、計3セット行ってください。

由来
【睛明】「睛」は目を表し、「明」は明るいという意味。「睛明」は、はっきりと明るく見えるというところから名づけられました

【太陽】「陽」は陽気が盛んであることを表しています。このツボは、陽気が盛んで、興奮から引き起こされる頭痛に効果があることから「太陽」と名づけられました

効能
【睛明】ドライアイ、眼精疲労、白内障、緑内障、鼻炎

【太陽】ドライアイ、眼精疲労、近視、老眼