365調査隊
「ガラガラペッ」と幼少期に習慣として身につけるうがい。うがい水を吐かずに飲んで、こまめに水分補給したほうが効果的といううわさを耳にします……。そんなうがいに関するウソ・ホントについて、調査隊が真相に迫ります。
胃酸で死滅しない細菌・ウイルスも存在
これだけ医学が進んだ令和の世にあっても、いまだ風邪の特効薬は存在しません。だからこそ、日頃からケアを心がけ、予防に努めるのがいちばん。
そして風邪予防といえば、手洗い・うがいを真っ先に思い浮かべる人が大半でしょう。このコロナ禍で、いっそう習慣として根づいた感もあります。
ちなみに、うがいをする際、のどでガラガラした後の水を、吐き出さずに飲み込んでしまうほうが効果的という情報が一時期テレビ番組などで話題になりました。口腔内の細菌やウイルスが、胃酸で死んでしまうためというのがその根拠。
一方では、うがいした水を飲み込むと、細菌やウイルスが体内に侵入して危険であるという真逆の説も出回っています。いったいどちらが正しいのでしょうか? 健康塾クリニックの鳥越勝行院長にお聞きしました。
「うがい後の水は、飲んでも特に問題ありません。いわれているとおり、多くのウイルスや細菌は胃酸で破壊されてしまうからです。ただ、うがいに対する風邪の予防効果には明確な科学的根拠がありますが、飲水での効果には今のところ裏づけとなる研究発表はありません。実際、ノロウイルスやロタウイルスなど、胃の中でも増殖するウイルスは存在しますから、決しておすすめはできません」
鳥越先生によれば、水でうがいした人はなにもしなかった人と比べて、風邪の罹患率が約40%も低下するというデータが存在するとのこと。さらに、わざわざうがいした水を飲み込むよりも、イソジンなど殺菌作用のあるうがい薬を使用するほうが、より効果的なのだとも。
「うがいのタイミングや回数にも気をつけたいですね。私は外出の前後に行うことを推奨しています。外出前は他人に感染させないため、外出後は自分が感染しないためです」
また、小まめに水を飲むことが風邪予防になるとも耳にします。こちらの真相は?
「口腔内の乾燥を防いで、雑菌を付着させにくくするという意味では間違いではありません。ただ、風邪予防については誤った情報も多いですから、あまりちまたでいわれている民間療法を真に受けすぎないほうがいいでしょう。うがいのように、科学的根拠のある行動をまずしっかり実践すること。インフルエンザや新型コロナウイルスなどの感染症でも、ほとんど症状が出ない人もいます。少しでも異変を感じたら検査を受けて、とにかく他人にうつさないように配慮することが大切です」
というわけで、風邪の予防はとにかく手洗い・うがい。これに尽きるのです。