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耳鳴り・めまいの改善には耳・脳の血流促進が有効!耳の筋肉を緩和する[橋本式ヨガ]

耳鼻咽喉科
はしもと内科外科クリニック院長 橋本 和哉

みずからの不眠をきっかけにヨガの効果を実感して患者さんに指導しはじめた

[はしもと・かずや]——1988年、大阪大学医学部大学院修了。市立吹田市民病院内科・神経内科医長を経て、2000年、はしもと内科外科クリニックを開院。日本内科学会認定医、日本神経学会専門医、日本温泉気候物理医学会温泉療法医、日本東洋医学会専門医、身体障害者手帳診断指定医。主な著書に『治りにくい病気が治る!「寝ヨガ」DVDブック』『医師がすすめる「おふとんヨガ」』(以上、マキノ出版)、『健康と若さを取り戻す医療ヨガ』(春秋社)などがある。

寒暖差の激しい季節の変わり目は、耳鳴りやめまいなど、耳の不快症状を訴える人が少なくありません。耳鳴りやめまいなどの耳の不快症状を改善するには、[橋本はしもと式ヨガ]が有効です。

これまでに私は、現代医療に基づく治療法に加え、日本東洋医学会専門医として東洋医学に基づく治療法と、整体の手技を取り入れた背骨(脊椎せきつい)の矯正法に積極的に取り組んできました。橋本式ヨガは、私の治療方針から生まれた、老若男女を問わずに行える独自のヨガです。

東洋医学では、「けつすい」と呼ばれる3つの基本要素が常に体内を巡って、心と体の健康を保っていると考えられています。「気」は生命エネルギーのこと。元気や気力などの「気」です。「血」は血液のこと。全身を巡って酸素や栄養素を運びます。「水」は血液以外の体液のこと。リンパ液や消化液、涙、汗などで、水分の代謝や免疫機能などに関わっています。

気・血・水の通り道となるのが「経絡けいらく」です。経絡は体内に網の目のように張り巡らされ、体のすみずみにエネルギーを送り込んでいます。経絡が分岐したり合流したりする要所にあるのが経穴けいけつです。

経絡を通る気・血・水の流れが乱れたり内臓が疲れたりすると、関連した経穴に痛みや筋肉の緊張が生じます。そのような状態を放置すると、耳鳴りやめまいをはじめ、肩凝り、腰痛、ひざ痛、頭痛、便秘、冷え症、不眠など、さまざまな体の不調を引き起こすことになります。体の不調を改善するには、手足の指先の経絡までしっかりと活性化し、気・血・水の流れをスムーズにすることが重要です。

私がヨガの健康増進効果を実感したのは、みずからの不眠がきっかけでした。私は生まれつき頸部脊柱管狭窄症けいけつぶせきちゅうかんきょうさくしょうで、首の「脊柱管」と呼ばれる神経の通り道が狭い体質です。そのせいで、肩・首の凝りをはじめ、目の疲れや頭痛に悩まされ、夜に熟睡できないこともありました。

そんなときにヨガと出合い、軽い気持ちで実践してみた私は、体がスーッと軽くなることを実感。それに伴って首・肩の凝りや目の疲れが軽くなっていったのです。さらに、ヨガを行った日は、朝までぐっすりと熟睡でき、爽快感そうかいかんを覚えながら目覚めることができました。みずからの経験をもって、私は「ヨガは、単なるストレッチ体操ではなく、筋肉の緊張を緩和して気・血・水の流れを整える働きがある」と確信したのです。

私のクリニックでは、2005年頃から一室を開放して、月に4~5回、毎回10数名の患者さんを集めて、橋本式ヨガの指導を行っています。その結果、耳鳴りやめまい、肩凝り、腰痛、ひざ痛、頭痛、便秘、生理痛、気管支喘息きかんしぜんそくなど、実にさまざまな疾患や症状に対して改善効果を上げています。多くの患者さんたちが「橋本式ヨガのおかげで姿勢がよくなった」「スムーズに歩けるようになった」と喜ばれています。

無理のない動きで筋肉の緊張を緩和し背骨のゆがみを矯正できる[橋本式ヨガ]

橋本式ヨガが優れているのは、無理のない動きで筋肉の緊張を緩和することができる点です。また、体のすみずみまで気・血・水の流れを行き渡らせ、背骨のゆがみを矯正できる点が挙げられます。さらに、運動不足に陥りがちな体の部位まで動かせる点も見逃せません。

今回は、橋本式ヨガの中でも、耳鳴り・めまいに有効なポーズをご紹介しましょう。橋本式ヨガで重要なのは、症状の原因となっている部位の筋肉の緊張を360度余すところなく解きほぐすことです。筋肉は、細長い円筒状の筋組織が束になってできているため、一方向に動かしただけでは筋肉の裏側や側面のすべてを動かすことができません。すべての筋肉を動かすために橋本式ヨガで取り入れているポイントの1つが「体軸回旋たいじくかいせん」です。

体軸回旋では、体の頭から足先までの中心に1本の棒(体軸)が入っていると想像してみるといいでしょう。体軸を意識しながら、体をぐるりと360度回転させることで、すべての筋肉を動かすことを目指すのです。

360度回転させるには、次のような方法で行います。まず、うつぶせの状態で右左に60度ずつ。次に、あおむけの状態で右左に60度ずつ。さらに、体の側面を上にして前後に60度ずつ。最後に、反対側の側面を上にして前後に60度ずつ、姿勢を変えながら体を回転することによってすべての筋肉を動かすようにするのです。なお、前後左右に60度というのはあくまでも目安のため、自分ができる範囲内で回転させれば問題ありません。

ただし、今回ご紹介する耳鳴り・めまいの改善に有効な橋本式ヨガの場合は、姿勢を変えて行うのが難しいポーズといえます。姿勢を変えながら体軸回旋を行って、すべての筋肉を動かすことはあくまでも理想です。それでも、左右に60度ずつの体軸回旋を行えば、1つのポーズでも左右120度の筋肉に働きかけることができます。もし右に60度、左に60度の体軸回旋を行っても効果が得られない場合は、60度よりも少し角度を広げて、できる限り回転するようにしてみてください。

橋本式ヨガで対象となる筋肉の緊張を緩和するには、筋肉を収縮させて一気に脱力する「筋肉強縮弛緩法きんにくきょうしゅくしかんほう」を取り入れると効果的です。まず、対象となる筋肉をグッと折り曲げます。例えば、耳鳴り・めまいに関係する首の後ろの筋肉の緊張を緩和するためには、頭を後方に反らすと首の後ろの筋肉が収縮します。反らす角度によって首の上のほうの筋肉が収縮したり、下のほうの筋肉が収縮したりするので、筋肉の緊張を緩和したい部位の筋肉が収縮する姿勢になっているかどうか、微調整しながら行いましょう。

では、次に橋本式ヨガの基本的なやり方をご紹介しましょう。

① 緊張を緩和したい筋肉が収縮するような姿勢を取る
② ①の姿勢を維持し、息をゆっくりと吐きながら右に60度体を回転し、息をゆっくりと吸いながら元に戻す
③ 息をゆっくりと吐きながら左に60度体を回転し、息をゆっくりと吸いながら元に戻す
④ 筋肉の収縮を解いて、一気に脱力する
⑤ ①~④を1日2~3回行う

橋本式ヨガのポーズを取るさいは筋肉が軽く緊張する程度にとどめ、決して痛みを感じるほど強く伸ばしてはいけません。筋肉を伸ばしながら、「筋肉が伸びていく」と頭の中でもイメージするといいでしょう。まるで海の上に浮かんでいるような感じで、心身ともにリラックスした状態で行うようにしてください。

橋本式ヨガは、基本的にはあらゆる人に実践してほしいと考えています。しかし、次の点には注意が必要です。

持病を抱えている人は事前に医師に相談する
極端に体調が悪いときは行わない
ゆっくりと自分のできる範囲内で行う
はずみや反動をつけない
繰り返し行う場合は10秒くらい休んでから行う
行った後は水かお湯で水分を補給する
食後1時間以内には行わない
妊婦さんはおなかを圧迫しないように注意する

橋本式ヨガを行うおすすめの時間帯は、1日の疲れがたまる夕方か夜です。橋本式ヨガを行うことで気・血・水の流れが整い、心身ともにリラックスした状態で入眠することができ、質の高い睡眠を得ることが期待できます。

ただし、くれぐれも無理は禁物です。疲れたり気分が悪くなったりしたら、しばらく様子を見ながら、お休みすることも大切です。ぜひ橋本式ヨガを習慣的に行い、心身ともに健やかな毎日を過ごしていただきたいと願っています。

耳鳴り・めまい撃退![橋本式ヨガ]

耳鳴りやめまいの原因はさまざまです。症状が重度な場合は安静にして、医療機関を受診するようにしましょう。今回ご紹介するのは、比較的軽度の耳鳴りやめまいにおすすめの橋本式ヨガです。軽度の耳鳴りやめまいは、頸椎(頭を支える首の骨)の上部のズレが原因のことが多いため、頸椎周辺の筋肉の緊張を緩和するポーズが効果的です。1日の疲れがたまる夕方か夜、2~3回行いましょう。

1 うつぶせの状態で、手は肩幅より少し広めにして前方に伸ばす

2 首の後ろの筋肉が収縮するようにあごを軽く上げる

あごを上げる角度を変えることで、収縮する筋肉の部位が異なります。収縮させたい筋肉を意識して、あごの高さを微調整します。

3 2の姿勢を維持し、息を吐きながら体軸回旋を意識してゆっくりと右に60度回転する。息を吐きながらゆっくりと元に戻す

首だけを回転させるのではなく、首から背中の角度は変えずに、体軸回旋を意識して全身を回転させる。

4 息を吐きながらゆっくりと左に60度回転する。息を吐きながらゆっくりと元に戻す

 

橋本和哉先生が診療されているはしもと内科外科クリニックの連絡先は、〒566-0024 大阪府摂津市正雀本町2-5-23 ☎06-6382-2110です。※手紙によるご相談や受診目的以外のお問い合わせには応じることができません。