プレゼント

「ありえない探し」に挑んで認知機能の〝推論”を強化!

Dr.朝田のブレインエクササイズ!

メモリークリニックお茶の水理事長 朝田 隆

認知機能は5つに分けられることが多く、具体的には「記憶」「注意」「言語」「視空間機能」、そして「推論」が挙げられます。推論は地味な印象ですが、認知機能を維持するうえで重要な機能です。今回は、推論を鍛えるクイズをご紹介しましょう。

認知機能は5つに分けられ、加齢で衰える「推論」を鍛えるためのクイズに挑戦!

[あさだ・たかし]——筑波大学名誉教授。1982年、東京医科歯科大学医学部卒業。同大学神経科、山梨医科大学精神神経科講師、筑波大学精神神経科学教授などを経て現職。数々の認知症の実態調査に関わった経験をもとに、認知症の前段階からの予防・治療を提案している。著書に『その症状って、本当に認知症?』(法研)など多数。

皆さんは、間違い探しは好きですか? あらためていうまでもなく、間違い探しとは2枚のよく似た絵を並べ、異なる点を当てるクイズ。正しい視覚認識と注意力という2つの認知機能が試される問題です。

今回挑戦していただくのは、間違い探しと似ているようでちょっと違う、「ありえない探し」です。下の問題に取り組んでみましょう。

さて、そもそも認知機能とはいくつあるのでしょうか。高齢化が進む現代において、認知機能という言葉はかなり定着しつつありますが、かつては知能と呼んでいた「ヒトの脳活動領域」を認知機能と呼びます。

いまでこそ認知症という言葉が広まっていますが、20年ほど前までは痴呆(ちほう)(しょう)という呼び方が一般的でした。「痴」という漢字は「知」に「やまいだれ」の部首がつくことからも分かるように、知能の病気という意味です。呆は、呆然(ぼうぜん)という言葉があるように「気が抜ける」という意味です。現在では、痴呆という言葉は侮蔑(ぶべつ)的とされ、各関係学会の提案で「認知症」という言葉に改められています。

認知機能に話を戻すと、現在では4~5つに分けられることが多く、「記憶」「注意」「言語」「視空間機能」に加えて「推論(reasoning(リーズニング))」があります。『ケンブリッジ英語辞典』によれば、reasoningは「何事かについて決定するための思考プロセス」と記されています。推論については「A=B、A=Cならば、B=Cといったプロセスのこと」と説明されることが多いようです。ただし、この説明だけでは推論の意味を理解しにくいのではないでしょうか。

推論という言葉の定義はともかく、実生活で大切な推論とは「ありえないこと、誤っていること」を見抜く能力だと私は考えています。なかなか注目されませんが、加齢とともに衰えがちな能力の一つです。

あらためて今回の問題について考えましょう。推論は、ありえないこと、誤っていることを見抜く力が重要です。普通の間違い探しと異なり、具体的に見えるヒントはありません。目をこらして誤りを見つけ出す、いわば推理能力が求められます。

ありえない探し

この建物には現実ではありえない部分が2ヵ所あります。それはどこでしょうか。

答えは次ページです。

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