プレゼント

オミクロン強毒変異株から人類を守る「IgG4抗体検査」と「IgY抗体」とは?(後編)

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

新型コロナウイルスに強力な防御力を持つIgY抗体スプレーで免疫異常を回避

今回のテーマは第53回の後編です。「ターボガン」や若年層の帯状疱疹、感染症の複合感染といった異常現象の背景には一体なにがあるのか——その真相に迫ります。

新型コロナウイルスは「Sたんぱく」と「Nたんぱく」という二つのたんぱく質を持っています。Sは「スパイク」の頭文字です。スパイクとは「トゲ」の意味で、トゲのようにとがったたんぱく質が細胞に引っかかり、細胞内に侵入するのです。

Nは「ヌクレオカプシド」の頭文字です。Nたんぱくは、ウイルスゲノムRNA(ウイルスの全遺伝情報を持つRNA)と結合しているたんぱく質のことです。ウイルスゲノムRNAを保護し、ウイルスゲノムRNAを粒子に収納する機能を持つと考えられています。Sたんぱくは次々に変異するのに対し、Nたんぱくはほとんど変異しません。

自然感染で作られる免疫では、このSとNの両方のたんぱく質に対抗する中和抗体が作られます。しかし、ワクチン接種ではSたんぱくに対抗する中和抗体だけが作られて、Nたんぱくに対抗する抗体は作られません。そのため、ワクチン接種の場合は、Sたんぱくが少しでも変異してしまうとウイルスに対抗できず、同じようなウイルスに何度も感染してしまうのです。

一方、自然感染して産生された免疫では、ウイルス粒子を構成するすべてのたんぱく質に対する抗体と細胞性免疫(免疫細胞が抗原を攻撃して排除しようとする免疫機能)の両方が誘導されます。細胞性免疫では、ウイルス感染細胞をキラーT細胞が殺すことで感染防御を行います。細胞性免疫の反応はすべてのウイルスたんぱく質に対して働くため、変異が少ないSたんぱく以外のたんぱく質に対する免疫が有効に機能します。

問題点はこれだけではありません。ワクチンの開発において、IgG4抗体を誘導してしまうことは失敗を意味します。IgG4抗体とは、人間が持つ免疫による中和抗体の一つで、主に血液中で働く抗体です。

新型コロナウイルスに対するメッセンジャーRNA型ワクチンでは、接種後にIgG4抗体が誘導されることが2023年に明らかになりました。IgG4抗体が血液中で増えることで、さまざまな悪影響が体内で生じることが判明してきたのです。なお、ほかのタイプのワクチン接種ではIgG4抗体の誘導は観察されていません。

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事(臨床研究事業)、一般社団法人不老細胞サイエンス協会理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

IgG4抗体は、新型コロナウイルスやメッセンジャーRNA型ワクチンによって体内の細胞で産生されるスパイクたんぱくと結合し、「抗原抗体複合体」というたんぱく質の複合体を形成します。通常、新型コロナウイルスやメッセンジャーRNA型ワクチン、不活化型ワクチンで発生したスパイクたんぱくが血液中になくなれば、IgG4抗体は半減期24日程度で消滅するため、およそ2~3ヵ月で体内の免疫抗体も普通の状態に戻ります。

ところが、スパイクたんぱくとの抗原抗体結合を起こしたIgG4抗体が血液中に多数存在していると、これらが消滅するまで長期間にわたって免疫が攻撃できない免疫不全状態が続くことが分かってきたのです。オミクロン型のリンパ球感染とともに、こうした状態も「Vエイズ(ウイルス由来免疫不全症候群)」と呼ぶ研究者もいます。

一方で、ワクチンを打たずに新型コロナウイルスに普通に感染した人ではこうした現象が見られないことや、メッセンジャーRNA型以外のワクチン接種者ではこのような現象が起こらないとの報告が世界中であります。メッセンジャーRNA型ワクチンを接種していない状態で、普通に新型コロナウイルスに感染した場合は、IgG4抗体が誘導されることはありません。

IgG4抗体は、腫瘍細胞や感染症に対する免疫も低下させます。こうしたことから、ターボガンや若年層の帯状疱疹、各種感染症の複合感染などの主要な原因の一つは、ワクチン接種によるVエイズではないかと世界中の研究者から推測されています。

この問題が事実であるとすれば、重要なのは解決策です。実は、この問題に対して非常に有効な解決策を提案している研究者がいます。東京理科大学名誉教授で生命システム工学科教授の村上康文先生です。

村上先生は、新型コロナウイルスに対して強力な防御力を持つ「IgY」という抗体を高濃度に含有するマウスケアスプレーを開発しました。IgY抗体とは、哺乳類が保持していない非常に強力な抗体です。村上先生はIgY抗体を鳥類から非常に安定した状態で分離抽出することに成功し、その強力な抗体を高濃度に含有したマウスケアスプレーを製品化したのです。

IgY抗体含有マウスケアスプレーは一プッシュでIgY抗体を約一億個近くも口腔内に保持でき、外出時に一プッシュするだけで約8時間ウイルス感染を防ぐことが期待されています。すでに新型コロナウイルスに感染して発熱してしまっている場合は、IgY抗体含有マウスケアスプレー1プッシュ分と約1㍉㍑の水を混ぜてネブライザーで吸引することで、大抵は一晩で解熱し、翌日には感染に伴う諸症状がほぼ消失したという症例が重ねられています。

新型コロナウイルスの再感染を防ぐことは重要です。なぜなら、一度IgG4抗体ができてしまうと、新型コロナウイルスに再感染するたびにIgG4抗体が誘導されて量が増えていくからです。こうした悪循環を断つためには、外からの新たなスパイクたんぱくの取り込みを防御することが有効です。約2〜3ヵ月にわたって新規感染がなければ、血液中のIgG4抗体の増加問題がクリアされると考えられているのです。