理学博士 大野 秀隆
体質にもよりますが、急性アルコール中毒の問題が起こるのは、標準的にはアルコールを100g飲んだときの現象です。日本酒なら2合2勺、ビールだと大瓶2本半~3本。これらに含まれるアルコールの量が体内に入ったときの血液中のアルコール濃度は、0.15%程度。体からアルコールが抜けていく速度は、1時間につき日本酒で7勺程度の割合ですから、お酒を多量に飲むと、眠りから覚めたときにもまだアルコールが残ってしまうのです。
二日酔いを起こしたときに、いわゆる「迎え酒」をすると体がらくになるという人がいます。これは、残ったアルコールによって苦痛を感じている脳をマヒさせるからです。迎え酒を飲む習慣がつくと飲むピッチが上がり、多くの量のお酒を飲めるようになります。その結果、待っているのが慢性的なアルコール中毒症です。アルコール中毒症になると、人格がだらしなくなって、やがては幻覚症状や妄想が起こるようになります。嫉妬深くなり、認知機能の低下が見られる場合もあります。激しい苦悶や支離滅裂な躁鬱状態、てんかんのようなけいれんを起こすことさえあります。
二日酔いを起こしたときは、迎え酒は禁物です。水をたくさん飲んで、アルコールをできるだけ早く体外に出すように努めましょう。何よりも、ひどい二日酔いをしないように、無茶な飲酒を控えることが大切といえるでしょう。