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末期ガンを8割治す先端検査と治療法(後編)

がん治療の進化を目撃せよ!

日本先進医療臨床研究会理事 小林 平大央

日本国内で受けられる、末期ガンでも8割治せる可能性がある先制統合治療とは?

小林平大央
[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催。一般社団法人日本先進医療臨床研究会理事(臨床研究事業)、一般社団法人不老細胞サイエンス協会理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

現在、欧米では、ガン治療の第一選択は手術ではなく放射線治療が主流です。特にピンポイントで腫瘍しゅよう部位だけを対象に治療する「サイバーナイフ(ロボット誘導型定位放射線治療装置)」や「トモセラピー(高精度放射線治療装置)」が初期のガン治療では効果が高いとされています。

一方、日本では、現在でもガン治療といえば、多くの場合で手術が第一選択です。また、欧米では効果がないとして使用されていないタイプの抗ガン剤もいまだに多く使用されています。

欧米では、現在もさまざまな治療薬や再生医療などの最先端医療がラインナップに加わり、さらに代替療法として自然療法や食事療法、メンタル療法などの改良形・発展形が多く組み合わされ、積極的に試されています。ガンを完治させ、再発させたくないと考えるなら、日本国内で受けられる、末期ガンでも8割治せる可能性のある先制統合治療を選択すべきでしょう。

まず検査ですが、日本でガンと診断されるには、細胞を取って調べる「細胞診」という検査でガンと確定される必要があります。また、保険適用の検査や治療を受けるためには古くからある「腫瘍マーカー」という血液検査や、画像診断である「PET-CT(陽電子放出断層撮影法-コンピューター断層撮影法)」や「MRI(磁気共鳴画像法)」などの検査を定期的に受ける必要があります。ただし、腫瘍マーカーは精度が低く、画像診断はガンが約5㍉の大きさ(ガン細胞約5億個分)にならないと見つけられず、あまり役には立ちません。

現在、最先端のガン血液検査でおすすめなのは「CTC(血中循環ガン細胞)検査」「セルフリーDNA検査」「リンパ球分画検査」などです。また、画像診断では通常のPET-CTではなく、日本にまだ数台しかない「メチオニンPET-CT」が脳腫瘍や膀胱ぼうこうガン、各種の固形ガンなどの判定と治療計画を立てるうえで非常に有用です。

CTC検査は、血液中を循環しているガン細胞を捕まえて検査する方法です。CTC検査にはいくつかの種類がありますが、その中でも、微小流路デバイス法による「micro流路CTC検査」がおすすめです。この検査の特長はガン細胞自体を捕まえるためにガンの性質が分かり、治療計画も立てやすいことです。また、ガン細胞の捕捉率が従来法の約1.5倍の90%という点で、きわめて高感度といえます。

前述のとおり、画像診断で約5㍉のガンが見つかった段階では、約5億個のガン細胞があることが分かっています。そのため、CTC検査は、超早期の再発の予兆をとらえる検査として非常に有用なのです。

ガン細胞は、大きく3つに分かれます。「上皮性じょうひせい細胞」といって転移せずあまり怖くないガン細胞。「間葉系かんようけい細胞」といって転移する怖いガン細胞。そして、上皮性から間葉系に変化途中のガン細胞の3つです。なお、ガン細胞が血液中に1個見つかると、体内には約1000倍以上のガン細胞があることが推察されます。

これらのガン細胞の中で、上皮性ガン細胞は主にステージⅠ期かⅡ期の比較的早期の段階のガンです。抗ガン剤が効きますが、大量に抗ガン剤を使うと耐性ができてしまい、逆に治療が難しくなってしまいます。

『ガン治療革命』小林平大央編著(河出書房新社)

問題は、間葉系ガン細胞と変化途中のガン細胞です。これらのガン細胞はⅢ期以降のステージで出現しますが、抗ガン剤が効きません。これらを殺せるのは、体に備わった自然免疫と有機ヨウ素などのいくつかの治療素材だけです。

セルフリーDNA検査は、血液中に流れているDNA断片の量を測る検査です。CTC検査と同時に調べることができます。

健常人でも、運動やスポーツによって細胞が壊れてDNA断片が血液中に流れ出ることがあります。そうした場合、DNA断片の数は通常300個程度です。重労働やプロスポーツ選手のような過激な運動をしても通常700個を超えません。そのため、700個を超えるDNA断片が血液中に流れている場合、体内のどこかにガンがあって腫瘍を形成している可能性が高いことが推察されます。そして、このDNA断片の数はガンの進行度や治療効果の目安になります。

血液中に数千個を超えるDNA断片がある場合はかなり危険です。効果的な治療を急いで始めないと間に合わなくなる場合があります。

リンパ球分画検査は、ガンと闘う自然免疫のかなめであるリンパ球の分布や比率を測る検査です。CTC検査やセルフリーDNA検査が敵であるガン細胞を推測する検査であるのに対し、リンパ球分画検査はガンと闘う味方であるリンパ球を調べるための検査です。

メチオニンPET-CTは、通常のブドウ糖を使ったPET-CTと違い、メチオニンを使ってガン細胞の大きさや場所を特定する画像診断です。ガン細胞のエネルギー源といわれるブドウ糖ではなく、ガン細胞が増殖や分裂をする際に必ずメチオニンを必要とするという「ホフマン効果」を使ってガン細胞を調べます。

ブドウ糖を使って調べる通常のPET-CTの場合はガン細胞と同じくらいのブドウ糖が密集する脳や膀胱、腎臓じんぞう、肝臓などでは腫瘍かそうでないかの判断が難しくなりますが、メチオニンPET-CTの場合はその判断が明瞭です。現在、欧米でほぼ第一選択となっている放射線治療などと組み合わせると非常に有用で、特に早期のガン治療で効果を発揮します。

なお、このホフマン効果は、現在カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部教授であるロバート・ホフマン博士が提唱した理論です。ホフマン博士は、この理論からガン細胞の増殖や分裂を阻害するため、メチオニンを極力減らした食事がガン治療に有効であると提唱。メチオニン制限食療法によって、ガン増殖抑制を通常の3~5倍高めることができると発表しています。また、食事でとったメチオニンの約8割を吸収阻害するメチオニン代謝酵素「メチオニナーゼ」を使用した治療法も開発し、普及活動を行っています。

ちなみに、メチオニンが豊富な食材としては、肉、魚、卵、乳製品、豆などがあり、少ない食材にはコメ、イモ、アボカド、ニンジンなどの根菜類や果物、野菜などがあります。これらの食事を16時間断食のオートファジー療法と組み合わせると、さらに効果が高いことが分かっています。