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がん・難病の撲滅を目指す「2030ガン難病ゼロ運動」

がん治療の進化を目撃せよ!
日本先進医療臨床研究会代表 小林 平大央

手術・放射線・抗がん剤以外にも保険適用の治療法や自由診療のがん治療が多数存在

[こばやし・ひでお]——東京都八王子市出身。幼少期に膠原病を患い、闘病中に腎臓疾患や肺疾患など、さまざまな病態を併発。7回の長期入院と3度死にかけた闘病体験を持つ。現在は健常者とほぼ変わらない寛解状態を維持し、その長い闘病体験と多くの医師・治療家・研究者との交流から得た予防医療・先進医療・統合医療に関する知識と情報を日本中の医師と患者に提供する会を主催して活動中。一般社団法人日本先進医療臨床研究会代表理事(臨床研究事業)、一般社団法人ガン難病ゼロ協会代表理事(統合医療の普及推進)などの分野で活動中。

2008年2月に有志の医師らによって、がんと難病で苦しむ患者さんを救うために活動する「統合医学医師の会」が設立されました。その後、2015年6月には、その主旨を「世界からがんと難病をなくし、がん難民と難病難民を救済する」と発展的に拡大し、「一般社団法人日本先進医療臨床研究会」が設立されました。同研究会では現在、「2030年までにガンと難病の死亡者をゼロにする(2030ガン難病ゼロ運動)」プロジェクトを展開しています。

がんの治療といえば、これまではヒポクラテスの時代から行われている「手術」と、近代になって発展した「放射線治療」「化学療法(抗がん剤治療)」のいわゆる3大療法だけでした。しかし近年、本庶佑ほんじょたすく先生(京都大学名誉教授)がノーベル賞を受賞することで有名になった免疫療法やハイパーサーミア(温熱療法)、動脈塞栓術どうみゃくそくせんじゅつなど、現在では3大療法以外にも健康保険の適用となる治療法が数多くあります。さらに、自由診療では、クリニックなどで行える米国で研究中の最先端治療や伝統療法、自然療法、食事療法、メンタル療法など、さまざまな治療が行われています。

しかし、先端医療の情報は多くの医師や患者さんには届いていないようです。現場の医師や医療関係者は多忙で、先端医療の情報と触れ合う時間が少ないからかもしれません。

また、大きな病院には、自由診療と保険診療を混合して行ってはいけないというルールがあります。そのため、さまざまな治療法を実行できない場合が多いのですが、開業しているクリニックの先生ならば、治療法や検査の選択肢は数多くあります。

そこで、この連載ではあえて患者さんに焦点を当てた先端医療の情報をご紹介していこうと思います。患者さんが「この検査を受けたい」「この治療をしてほしい」と思う先端医療の情報は、多くの医師にとっても実際の治療に応用できる価値の高いものだからです。

ところで、なぜ私ががん治療や認知症、神経変性疾患、膠原病こうげんびょうなど、いわゆる難病治療の最先端情報を知っているのかというと、それは、私ががん・難病治療の臨床研究を行う組織の代表だからです。また、私は現在、東京大学内の研究チームと提携する財団の推進担当も兼務しています。この財団では「10年後に生じる社会のニーズを東大発のイノベーションで解決に導こう」という方針のもと、多くの医師や研究者の協力のうえで、がんや難病をなくす最先端の研究がたくさん行われています。

ちなみに、私は幼少期に膠原病を発病して7回長期入院し、心臓に水がたまるなど、3度死にかけた経験があります。また、社会人になってからも2度長期入院し、入院中に小腸炎と大腸炎を併発して死にかけました。

こうした体質を克服するため、私は、現代医療だけでなく、多くの健康食品や食事療法、健康法に取り組んできました。自然療法や伝統医療、民間医療、果ては宗教まで、さまざまな方法にかなり多額のお金を費やしてきました。そのため、現代医療や先端医療だけでなく、その方面の事情にも詳しいわけです。

Ⅲ期以降の進行がんは日本の標準治療では完治が難しく全がん種で治癒率は20%未満

2019年6月に行われた「2030ガンゼロ講演会」にて、初代厚生労働大臣の坂口力氏(右)とともに撮影された1枚

さて、まずはがん治療のお話から始めたいと思います。現在のがん治療では、手術のできる初期のがんであれば、9割近い確率で完治(5年生存)します。そのため、がんは、ある意味〝治る病気〟になったといってもよいかもしれません。その証拠に、いまはがんの告知があたりまえになっています。

ただし、人間としての尊厳を傷つける部位の手術は問題となっています。例えば、乳がん、前立腺ぜんりつせんがん、直腸がん、食道がんなどです。乳がんや前立腺がんは、性と密接な関連があります。直腸がんは人工肛門じんこうこうもんを造設する可能性が高く、食道がんは声を失う可能性が高いことが知られています。こうしたがんに対しては、がんといっしょに正常な臓器まで取ってしまう手術ではなく、放射線治療や化学療法、またはその他の体にダメージや副作用が少なくて効果のある方法が求められています。

一方、ステージⅢ以降の進行がんになると、現代日本の標準治療ではほぼ完治が難しくなります。全がん種で治癒ちゆ率20%を下回っており、ステージⅣともなれば、膵臓すいぞうがん、肝臓がん、肺がん、胃がんの治癒率は10%未満です。

現在の日本医療では、早期がんの5年生存率(治癒率)が90%近いことから、早期発見・早期治療という、いわゆる2次予防に力を入れた政策が戦後からずっと続けられています。しかし、これではがんの発症率も死亡率も減らないことは欧米のデータでハッキリしています。欧米ではその反省を踏まえ、食事療法やサプリメントによる栄養補助、運動療法、マインドフルネスなどのメンタル療法に力を入れて病気の発生を防ぐ1次予防と、重症化を防ぐ3次予防に力を入れています。

それに対して、日本では「健康保険」という制度が足かせとなってしまっている感が否めません。この保険は発病した後の治療には使えますが、健康を保つ予防には使えません。なぜなら、予防効果を科学的に証明することは非常に困難だからです。そのため、日本では、病気になること自体を防ぐ、いわゆる「1次予防」に力を入れるのは大変難しいのです。

そこで、日本でもがん治療を成功に導くためには、重症化を防ぐ3次予防に力を入れるべきだと考えられます。そんな中、非常に優れた検査法と治療法の組み合わせが見つかったのです。次回からは、がんや難病の検査法や治療法に関する先端医療の情報をご紹介していくことにしましょう。