プレゼント

元気の秘訣は40年来の油絵とカエルグッズの収集です

私の元気の秘訣
信州大学名誉教授 茅原 紘さん

私は長年にわたり、食品が持つ機能性について研究を続けています。母校の信州大学のみならず、中国やベトナムの大学でも教鞭を執り、一緒に学んだ多くの教え子たちは、さまざまな分野で活躍しています。

「似ている」といわれたカエルのグッズを集めています

[かやはら・ひろし]——1941年、奈良県生まれ。農学博士。1965年、信州大学農学部卒。1971年、大阪府立大学博士課程修了。1988年、信州大学農学部応用生命科学科教授。2001年、同大学大学院機能性食料開発学教授。2006年、同大学名誉教授。2007年、中国長春中医薬大学教授。2009年、信州大学工学部特任教授。ベトナム国立ダラット大学農林学部教授を経て2018年、同大学名誉教授。食品の機能性に関する学術論文を多数執筆。

私の研究が注目を集めたのは、いまから約20年前に私たちの研究グループが提案した「発芽玄米」の存在でした。発芽食品とは文字どおり、種から芽を出したばかりの状態(新芽)にある食品のことです。生命エネルギーに満ち、栄養価も高い発芽玄米は当時、健康意識の高い人たちの間で一大ブームを巻き起こしました。その後、発芽玄米は一般の家庭にも普及し、いまではスーパーマーケットなどで手軽に購入できるようになっています。

2018年に開催された日本綜合医学会全国大会では、「発芽玄米の底力を知ろう!」と題して発芽玄米に関する発表をしました。玄米を発芽させることで、ギャバやリジンといった、健康維持に役立つ栄養素が豊富になることや、発芽玄米入りのごはんを学校給食に導入する食育運動についても紹介しました。発芽玄米入りの給食を取り入れたある学校では、半年後に遅刻やいじめ、万引き、児童のアレルギー体質が次々と改善されたという事実に、会場から驚きの声が上がりました。発芽玄米によってもたらされる学習面の好影響も顕著です。授業における集中力の高まりや図書館利用率の上昇、全国平均を上回る学力向上など、発芽玄米のパワーを改めて伝えることができました。

長年に渡って食品の機能性に関する研究を続けている私ですが、研究ばかりしているわけではないんです。皆さんもそうだと思いますが、人生には息抜きも必要ですよね。今回は、こっそりと私の趣味をご紹介したいと思います。

まず一つ目は、カエルグッズの収集です。きっかけは、信州大学で教えていたある学生から「茅原先生はカエルに顔が似てますよね」といわれたことでした。カエル顔といわれて嫌な気持ちはしませんでしたよ。ゴリラやオランウータンに似てるといわれたわけじゃないですからね。その後、しだいに“カエル顔の教授”として大学内で話題になり、学生や留学生たちからカエルのグッズをいただくようになったんです。海外旅行に行った学生が「新しいカエルグッズを手に入れました」と、わざわざおみやげを買ってきてくれることもありました。

長野県伊那市にある自宅には、皆さんからいただいたり、自分で収集したりしたカエルグッズがたくさんあります。カエル様専用のショーケースもあるんです。おそらく1000個以上はあるんじゃないですかね。

収集したカエルグッズのコレクションの中でいちばん大きなものは、木彫りのカエルです。棒で背中をこすると「ゲロゲロ♪」と、まるで本物のカエルが鳴いているような音がするのですが、これは昔、農家の方が雨乞いをするさいに使ったそうです。グッズというより骨とう品に近いかもしれませんね。

もう一つの趣味は油絵です。40年以上やっているのに全然うまくならないので、口にするのも恥ずかしいのですが……。いまは、地元で活動している伊那市民美術会の会長をさせていただいています。油絵は上手くないのに、肩書だけは立派なんです。

2019年10月に、第42回伊那市民美術展が開催されました。30~90代の約70人が所属する会員のうち、今回は58人が自由な感性で表現した作品を発表しました。ちなみに私は第一回目から出展しています。

今回、私が発表した油絵は、今年の春にベトナムで体験したダチョウに乗った自分の姿です。作品を見ていただいた方々からの反応は上々でしたが、「ダチョウって乗れるんですか?」「落馬じゃなくて落鳥しませんでしたか?」など、油絵の出来よりも、ダチョウに乗った感想を聞かれるほうが多かったです(笑)。

新しい発芽食品として「発芽そば」に注目してください

発芽玄米の普及のみならず、新しい発芽食品を見つけて皆さんの健康維持に役立てていただくのも私の仕事だと思っています。いま私が注目している発芽食品として、発芽そば(そばの芽)があります。そばの栄養素としてルチンが知られていますが、発芽そばにはポリフェノールの一種であるアントシアニンという色素が豊富に含まれています。あざやかなピンク色が特徴の発芽そばのアントシアニンはルチンと同様、健康の維持に役立ちます。発芽そばには、そば粉になる種子より多くのルチンが含まれているだけでなく、ルチンやアントシアニンといったポリフェノールも豊富に含まれています。

発芽そばは、私たちが信州大学で研究を始めてから注目され、いまでは他の研究機関でも研究が進んでいます。発芽そばは、サラダやおひたし、鍋物などに入れていただくのがおすすめです。スーパーマーケットで見つけたときは、ぜひ一度試してみてください。

茅原名誉教授が描かれた作品をご紹介

『オームのランデブー』

『アオザイの教員女史に囲まれた小生』

『孫の躍動!』

『老春(ベトナムにて)』

『裸婦デッサン』

『裸婦デッサン』