理学博士 大野 秀隆
昔もいまも、下着の素材は木綿が使われています。木綿は肌触りがよく、洗濯しやすいのが特徴です。私たち人間の体を覆っている皮膚の大切な役割に、発汗と皮脂の分泌があります。暑い夏には体温を下げるためにたくさんの汗をかきます。このときに大切なことは、早く皮膚の表面から汗を取り去ることです。顔や手足のように露出した部分なら、タオルで汗をふきとることができます。また、空気中への蒸発もされるでしょう。ところが、衣服に覆われている部分はそうもいきません。汗がこもってしまうのです。このときに問題になるのが、下着の素材です。つまり、汗が吸収されやすく、しかも吸い取った汗を空気中に拡散させるには、何といっても木綿が最適な素材なのです。
発汗が多い子どものパジャマは木綿がいいといわれるのは、このような理由からです。ストッキングをはじめ、ブラジャーやパンティなども化学繊維が使われていますが、使用される化学薬品の影響で皮膚のトラブルを起こす人も少なくありません。あせもによってできる、かぶれに悩む女性も多いようです。おしゃれや体のラインを美しく見せるためのボディウェアも流行っていますが、 肌に直接触れる下着だけは、木綿の素材を選びたいものです。