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「ひざ痛」のツボ 粱丘・委中

よっしー先生の特効ツボはここでヨシ!

帝京平成大学ヒューマンケア学部鍼灸学科准教授 大山 良樹

[おおやま・よしき]——大阪産業大学経営学部、明治鍼灸短期大学鍼灸学科卒業。明治鍼灸大学助手・講師を経て、2008年から現職。日本東洋医学会、日本健康科学学会所属。

40歳以上で「ひざの痛み」に悩んでいる患者さんは、全国でおよそ800万人。5人に1人がかかるといわれるひざ痛の大部分は「変形性ひざ関節症」が原因で、患者さんの男女比は1対4と女性に多く見られます。変形性ひざ関節症は高齢者になるほど罹患(りかん)率が高くなり、ひざの痛みや水がたまるなどの症状が現れます。

変形性ひざ関節症の初期は、立ち上がりや歩きはじめといった動作の開始時に痛みが起こりますが、一時的に休めば痛みは軽減します。中期になると、正座や階段の昇降(特に下りる時)が困難となり、末期では安静時でも痛みが続きます。さらに、ひざ部分の変形が目立ち、ひざが伸びずに歩行困難となります。

変形性ひざ関節症が起こる原因として、複数の因子が考えられます。具体的には、性別(女性に多い)・体質・骨密度・肥満・ホルモンなどの影響です。加齢による原因としては「O(オー)脚変形」が特徴で、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失うことで、軟骨がすり減って、関節の変形をきたします。

診断の際は、触診によってひざ内側の圧痛や関節の動き、()れの状態を調べたり、X線やMRI(磁気共鳴断層撮影)検査などでO脚変形の有無を調べたりして総合的に判断します。

続いて、変形性ひざ関節症の主な予防法と運動療法をお伝えしましょう。

【予防法】

①太もも前面の筋肉(大腿四頭筋(だいたいしとうきん))を鍛える
②正座を避ける
③肥満体質であれば減量する
④夏は、ひざをクーラーなどで冷やさず、温めることでひざ周囲の血行を良くする
⑤イスや洋式トイレを使うなど、ひざに過度の負担をかけない生活を送る

【運動療法】

あおむけで行う運動療法

①あおむけになり、痛みのあるひざと反対側のひざ(両膝)を直角に曲げる
②痛みがあるほうの足をゆっくりと上げていく
③足首をできるだけ背屈(はいくつ)(つま)(さき)を甲側に曲げる動作)して、床から10㌢程度上げる
④その状態を5秒間保持した後、足を床に下ろして2秒間休む
⑤この動作を、30~40回行う

床に座って行う運動療法

①両ひざの間にゴムボール(バレーボール大)を入れ、ももの力で挟む
②ボールを挟んだ状態を5秒間保持した後、一気に脱力する
③この動作を、10~15回行う

イスの上で行う運動療法

①安定したイスに腰かける
②ひざを90度に曲げ、足首をできるだけ背屈させて5秒間保持する
③この動作を、30~40回行う

ひざの痛みにはツボ刺激も有効です。続いて、変形性ひざ関節症の痛みに有効なツボを二つご紹介します。

一つ目のツボは「(りょう)(きゅう)」です。ひざを曲げて足裏が床に着く高さのイスに座り、両手で包み込むようにしながら親指で刺激していきます。ひざ上に向かって5秒間ゆっくりと押して刺激します。これを5回、計3セット行いましょう。

二つ目にご紹介するのは「()(ちゅう)」のツボです。梁丘のツボと同じように、足裏が床に着く高さのイスに座り、足を少し前に出します。中指をひざ裏の中心に当て、親指でひざの上部を挟みます。

その後、両手を使って左右の中指を委中のツボに置き、痛みや気持ち良さを感じるところを探してください。ゆっくりと中指に力を入れて5秒間を5回、計3セットを目指しましょう。

ツボを押す力は、梁丘・委中ともに指の爪の色が白くなる程度を目安にしましょう。委中のツボは、ひざ裏にテニスボールを置いてコロコロと動かして刺激するのも有効な方法です。

由来
【梁丘】「梁」は、山間のかけはし(山梁)のことです。「丘」は小高く盛り上がったところを意味します。ひざの上の小高くなったところの外側にあり、山梁があるように見えることから名づけられました

【委中】「委」は(ゆだ)ねる、「中」は真ん中という意味です。ひざを曲げた時、真ん中にあるツボということから名づけられました

効能
【梁丘】ひざ痛、胃けいれん、胃痛、下痢、腹痛、乳腺炎など

【委中】ひざ痛、坐骨神経(ざこつしんけい)(つう)、腰痛、腓腹筋(ひふくきん)(ふくらはぎ)のむくみなど